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本物、偽物、真実?

作者: なみなみ

「本当の私」ってなんだろう?

私にはわからないそれを、アイデンティティなどと、世の中では言うらしい。

エリクソンは、青年期にアイデンティティを探すものだと言う。

青年期真っ只中の私は、大人になるまでに、それを見つけられるのだろうか?


「おはよ、さやか!」

登校中の私に声をかけてきたのは、友人のあかりだ。私は、私が私だと思う私を演じて、いっぱいの笑顔で挨拶を返す。

「おはよう、あかり!」


昨日も、今日も、明日も私を演じながら、学校に行き、家に帰る。学校での私は私という仮面をつけている。なら、家では?帰ってから楽な服に着替え、お菓子を食べながらテレビを見て、夕食を食べてからお風呂に入り、スマホをいじってから歯を磨き、寝る。これは、「本当の私」が、したいこと?

私の夢は、洋服のデザイナーになること。学校でも家でも、そのために何かしてる?「本当の私」は、本当にデザイナーになりたいの?ときどき、わからなくなってしまう。

たまに、家で洋服のデザインを考えることもある。でもすぐにやめて、スマホをいじっている自分に気づく。

あれ…?私、デザイン、やりたくないの…?


大人になった私は、いま、アパレル店員をやっている。デザインする側ではないけれど、洋服に携われることには満足している。

あいかわらず、「本当の私」とやらは行方不明。でも、昔ほどそれは気にならない。職場で仮面をつけている私も、家でダラダラしてる私も、たまに何かに啓発されて、洋服のデザインを始める私も、きっと全部「本当の私」。それで、全部「偽物の私」。「本当の私」は、私がなりたいと思う私、なる必要がある私に変わろうとして、仮面を選び、「偽物の私」を演じる。だから、どっちも本物で、偽物。


どんな私も、全部ひっくるめて、「真実の私」なんだろうな、なんて、哲学者ぶったりして。未来の私は、私をどんな風に考えるだろう?頭の悪い私は、考えるのがめんどくさくなった。

明日も早い。今日はもう寝ることにしよう。

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