4話 固有スキルと加護
「お前様よ。少しステータスを見せてはくれんかの。」
「いいが、どうしてだ?」
「少し、確認したい事があっての。」
「ふーん。まぁ、いいか。」
俺は、そう言って、ステータスキューブに魔力を注ぐ。
ステータスキューブは、魔力に反応するかのように青く輝き、ステータスを浮かび上がらせた。
ガウル=ミリタル ヒューマン 15歳 レベル1
職業 村人
【HP10/10】 【MP10/10】
攻撃 10
防御 10
敏捷 10
魔力 10
固有スキル
【超成長】
【鑑定】
【限界突破】
【念話】
加護
【妖刀の加護】
「なんか、固有スキルが3つも追加されてるんだけど。」
「お前様は、ネネキリマル様と契約した。それも、妾より強度の契約を。」
「いつ契約したんだろう。」
「そんなの、一つしかなかろう?キスの時じゃ。」
「そんな簡単に契約出来んの?」
「出来るのじゃ。契約する者が拒まなければな。つまり、お前様は妾がいるのにも関わらず、契約してもいいと考えていたという事じゃ。」
「怒ってる?」
「怒ってない。」
「顕現せよ、ネネキリマル」
そう言った瞬間、俺の左手には妖刀が握られていた。
「おぉ、本当に出てきた。やっぱりこういう事も出来るのか。」
前に、ムラマサを呼び出した時は、擬人化しているムラマサを呼び出した。
だから、その逆である妖刀そのものを呼び出す事も出来るんじゃないかと思ったら、やっぱり出来た。
「お前様。妾の事が嫌いなのか?」
「嫌いじゃないぞ。むしろ好きだ!」
「そうなのか。それならよいのじゃ。」
ちょろいな。
それに、表情が柔らかくなったせいか、前より可愛く思える。
固有スキルの事、ネネキリに教えてもらおう。
「顕現せよ、ネネキリマル。」
次は、擬人化しているネネキリを呼び出す。
「なんだ?ガウルよ。」
「固有スキルってやつを教えてもらおうと思っな。それとなぜ、ムラマサと契約した時は、固有スキルは1つしか追加さされなかったのに、ネネキリと契約した時は、3つも追加されたんだ?」
「なんだ、そんなことか。固有スキルっていうのは、何か特別な事が起きた時に発言するスキルの事だ。今回の特別な事は、儂とガウルが契約した事だな。そして、固有スキルが追加される数については、ただ単に強いか、弱いかの違いだ。」
「という事は、ムラマサがただ弱いから1つしか追加されなくて、ネネキリが強いから3つも追加されたという事か。」
「ちなみに儂だけだぞ。3つも追加されるのは。」
「へぇ〜。ネネキリは凄いんだな。」
「もっと褒めてくれてもいいぞ。」
「いや、それはいい。褒めたら、ムラマサが怒る。」
「別に、怒ったりせんわ。」
そう言うが、ムラマサの額には青筋が浮かんでいる。
「怒ると、可愛い顔が台無しだぞ。」
「だから、怒っとらんと言っておるじゃろ!」
わーお。
怒っちゃった。
だが、ここは「ネネキリ、【鑑定】の使い方を教えてくれ。」
この【鑑定】という固有スキルは、調べようとしている物の詳細を調べる事が出来るものだと俺は思っている。
「【鑑定】の使い方?【鑑定】の使い方は、念じるだけでいいぞ。」
「そういうもんなのか。」
やってみるか。
【鑑定】と念じる。
固有スキルと加護を【鑑定】する。
【超成長】 レベルが1上がるごとのステータスの上昇幅増加。
【限界突破】 名前の通り、限界を突破する事が出来る。
【念話】 テレパシー。話したい相手に言語・表情・身振りなどによらずに、心の内容が直接伝達される。双方向性。
【妖刀の加護】 妖刀との繋がりが強ければ強いほど全ステータス上昇。(現在、全ステータス×1.5。)
「おぉ、本当に詳細を調べる事が出来た。」
「よし、調べたい事は調べた。今から、戦い方を教えてください。」
「ガウルよ、その前に儂の半身である妖刀を返してくれ。」
「あぁ、悪いな。…どうやって返すの?」
「…。」
「…分からないのか?」
「確か退隠と言えば、大丈夫だと思うぞ、うん。」
「退隠せよ、ネネキリマル。」
そう言うと、妖刀は消え、擬人化ネネキリに戻った。
戻ったから、よかったものの、戻らなかったらどうするつもりだったんだろう。
そんなことを考えてしまった。