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2話 お別れ

「お前様よ。」


「何だ?」


「お前様は、強くなりたいのか?」


「そりゃあ、強くなりたいよ。でも、俺は村人だ。村人なんてすぐに限界が来る。」


村人は、前にも言った通り、レベルの最大値は10、それにレベルが1上がった時のステータスの上昇幅は、1か2だ。


「なんじゃ。村人は村人でもお前様は、妾の契約者。確かに他の職業の奴らより、レベルも上がりにくいし、ステータスだって伸びないだろう。なら、あれを覚えるまでじゃ。」


「あれって?」


「勇者は、神々の加護を授かってるじゃろ?」


「あぁ。神々の加護のおかげで、全ての魔法に適性があったり、レベルは上がりやすくなったり、ステータスも伸びやすいって聞いたことがあるな。」


はっきり言って、羨ましいわ。


「だから、お前様も加護を授かればいいんじゃ。」


「は?そんなんできるわけないだろ。」


ムラマサの言ってる事が、分からない。


「お前様よ、加護は神々の加護の一つしかないと思っておるのか?」


「そりゃ、思ってるよ。」


「お前様は、バカか。加護は、神々の加護、魔王の加護、龍王の加護、精霊の加護、妖刀の加護の5つあるんじゃ。」


「そんなにもあるのか、知らんかったぞ。」


「知らんのは当たり前じゃ。神々の加護しか人間には伝えられておらんからの。」


「じゃあ、俺は何の加護を授かるんだ?神々の加護は無理だろ?」


「お前様には、これから妖刀の加護を授かってもらう。」


「でも、そんな簡単に加護なんて授けてもらえるのか?」


「無理じゃ。妖刀の加護を授かるには、妾とお前様の繋がりを今よりもっと強固なものにしなければならん。」


「強固なものにするにはどうすりゃいいんだ?」


「取り敢えず、ここではない別の世界に行くぞ。」


「別の世界?」


「そうじゃ。妾達、妖刀がいる世界。そこで、お前様を強くし、妾とお前様との繋がりを強固なものにする。」


「でも、俺には妹が二人いるんだ。もうとっくに両親は死んでる。だから、あいつらを放っておくわけにはいかないんだ。」


二人の妹の名前は、ティナとルリアって名前だ。


ティナは12歳で、ルリアは10歳。


ティナは人懐っこいが、ルリアは正反対、でもたまに見せる笑顔がとても可愛く思う。


勿論、ティナも可愛いぞ。


ティナとルリアは、母親譲りの綺麗な金髪に碧眼に、まだ成長途中の体。


これからの成長が楽しみだ。


「なら連れて行けばよいだろ。」


「そんな事が出来んのか?」


「妾を誰だと思っておる。」


「唯の幼女。」


「お前様よ、あんまり妾を怒らすでないぞ。」


ムラマサはとてつもない、殺気を漂わせながら言った。


「すみません。」


俺は、頭を下げて謝った。


「お兄ちゃん。なに頭下げてんの。」


見られてはいけないところを見られてしまった。


いい歳した男が、幼女に頭を下げているところをな。


何で、こんな時に来るんだろうか。


うちの妹は。


俺は、錆びついた様に動かない首を妹であるティナの方へ向ける。


「嫌、別に何もないんだ。」


ティナが冷やかな目で見てきた。


「ティナ、ルリア。お前達に言っておかなければならない事がある。」


「なーに?」


「何ですか?」


「俺は、今日この家を出ようと思う。これは決定事項だ。もう変えることは出来ない。それに生きて帰れる保証もない。二度とお前らと会えないかもしれない。」


リウナに会いに行くというのは、戦場に行くって事だ。


だから、いつ死んでもおかしくないのだ。


死ぬ気はさらさらないが。


「いいよー。」


「え?なんかこうさ、引き留めたりとかないの?」


「ないよ。別に私お兄ちゃんの事とかどうでもいいし。」


ショックだよ。


お兄ちゃんショックだよ。


俺の心はズダボロだよ。


俺は、頼みの綱であるルリアを見る。


「私も別にいい。」


「ぐふっ!ここまで、嫌われてるとは思ってなかったよ。」


俺は深呼吸して、「もういいよ。ムラマサ行くぞ。妹達は、俺が居なくてもいいらしいし。」


「拗ねておるのか?」


「拗ねてなんかないわ。」


「そんな顔して言われても、説得力なんか微塵もないぞ。」


今の俺の顔は、涙を堪えているため、とても顔がブサイクだろうな。


俺でも分かるわ。


「そんじゃあな、我が妹よ。」


「じゃあね。帰ってこないでね。」


「うん。帰ってこないで。」


ムラマサが、この世界と別の世界を繋げるゲートを作った。


俺とムラマサは、そのゲートをくぐった。


そして、ゲートは閉じられた。


「バイバイ、お兄ちゃん。絶対帰って来てね。」


「兄さん、待ってます。無事に帰って来ることを願っています。」


二人の目から、一筋の涙が流れた事を、ガウルは知る由もなかった。



「おぉ、ここが妖刀の住んでる世界か。俺たちのいた世界とは全然違うな。」


俺は、辺りを見回しながら言う。


「当たり前じゃ。ここは、日本の江戸時代をモチーフとした世界じゃからな。」


「にほん?えど?何だそれ。」


「別に知らなくてもよいわ。」


「そうか?」


「うん。それじゃ、行くとするかの。」


「どこに?」


「妖刀の長に会いにじゃ。」


そう言って、ムラマサは歩き始めた。


俺は、ムラマサの後ろをついて行く。








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