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1話 英雄召喚、戦場派遣、その中で俺は…

2作目です。

1作目もまだ連載しているので、是非読んでみて下さい。

俺の名前は、ガウル=ミリタル。


15歳で、なんの力も持ち合わせてない唯の村人。


村人という時点で、魔法も初歩魔法(生活魔法)しか使えないし、レベルだって10までしか上がらない。


もちろんステータスの伸び方だって悪い。


レベルが1上がっても、各ステータス1か2しか増加しない。


勿論村人以外にも、職業が存在する。


他の職業は、レベルが1上がると10以上増加するし、レベルの上限だって100まである。


それだけでも、羨ましいのに、勇者と呼ばれるもの達は、レベルが1上がるごとに各ステータス50以上増加するのだ。


そして、今日はその勇者をも凌駕する英雄と呼ばれる者たちを召喚する儀式をする。


その儀式には、莫大な魔力が必要だから、100年以上もの間隔を空ける必要がある。


その儀式が、今日行われるというのは、運が良いのか悪いのか、よくわからない。


儀式が行われるという事は、この世界に危機が迫っているという事だ。


まぁ、俺は村人だから、どうする事も出来ないんで、勇者や英雄に任せる事しか出来ないんだけど。


「ガウル〜。一緒に召喚の儀式、見に行こう。」


「何で?行ったって何も良い事ないし。」


こいつは、幼馴染のリウナ=シュリンプ、勇者だ。


幼馴染が勇者というのは誇らしく思う。


でもその反面、何でリウナなんだと、何で俺じゃないんだと思ってしまうのだ。


「行こうよー。」


「嫌。」


「行こうよ。」


ちょっと、涙目になって来ている。


だが、今日こそは、惑わされない。


俺は、いつもいつもリウナが涙目になって、泣いてしまうと、言う事をきいてしまうのだ。


「行こうよ。ね、ガウル。」


「嫌だ。」


「何で、一緒に行ってくれないの?」


やめろ、上目遣いで見てくんな。


可愛いから。


リウナは、赤髪赤眼。


身長は、155cmくらい。


まぁ、胸はそこまで大きくはないと思う。


知らんけども。


リウナは今も、上目遣いで見ている。


そして、少しずつだが涙が頬を伝って、流れている。


あぁ、くそ。


こんな顔されたら、行くしかないよな。


「分かった。行くよ。」


「ありがとう。ガウル。」


リウナは、満面の笑みを浮かべた。


それに、俺はドキッとなった。


こうして、俺はまたリウナに負けたのであった。



召喚の儀式が行われる祭壇には、俺たちが住んでいる王国シュバルツの王族、その関係者、英雄を召喚する聖教者、そしてその者達を守る兵士達がいる。


その祭壇の外には、沢山の人達で溢れかえっている。


これだから、行きたくなかったんだよな。


王国まで行くのに、2時間弱はかかっている。


俺たちの住んでいる村は、シュバルツの外れにある小さな村だ。


「なぁ、どうしてそこまで行きたかったんだ?」


「えーとね。私ね、もうガウルと会えなくなっちゃうの。」


「え?どうして。」


「派遣されるの、戦場に。」


「派遣されるって、何でそんな急に。」


「違うの。前々から決まってたの。もう、魔族達との戦いは始まってるの。」


「聞いてない。そんな事聞いてないぞ。どうして言わなかったんだよ。そりゃ、言っても俺は村人だから、どうする事も出来ない。でも、言ってほしかった。」


言ってくれれば、なにか出来たかもしれないとは思っていない。


でも、言ってくれれば、プレゼントをあげたりとか、簡単な事なら出来ていたかもしれない。


村人だから、高いのは勘弁だけど。


「ごめんね。もう私はガウルと会えないから、最後の思い出として一緒に召喚の儀式に行ってほしかったの。」


「本当に戦場に行かなきゃダメなのか?」


戦場に行けば、かなりの確率で死ぬ。


だから、無事に帰ってくる可能性の方が低い。


「うん。だからね、ガウルに言わなきゃいけない事があるの。」


「何だ?」


「今まで、私とずっと一緒に居てくれてありがとう。ガウル、大好き。」


そう言って、リウナは口づけをする。


その行動に、俺は今まで抑えていた感情が、涙となって溢れ出た。


泣いた。


今までにないくらいに泣いた。


涙が枯れるまで泣いた。


そして、そんな俺をリウナは抱き締めてくれた。


そこからの記憶はほぼない。


だが、村への帰り道ずっと手を繋いでいた事は覚えている。



「貴様が妾の次の契約者か。」


「お前は?そしてここはどこだ?」


今、俺がいる所は全てが白く、何もない場所だ。


「ここは、貴様の精神世界じゃ。そして妾は妖刀ムラマサじゃ。」


「妖刀ムラマサ?」


どう見ても、唯の幼女だろ。


黒髪ロングで、黒い瞳。


身長は、140がいいところだ。


顔は可愛いが、体は成長していない。


これが、妖刀ムラマサなのか?


まぁ、妖刀ムラマサが何か知らんけど。


「知らんのか。貴様の祖父から聞いとらんのか?」


「聞いてない。そもそもじいちゃんがいた事すら、知らなかった。」


「やはり、あいつこの世から存在を消したのか。」


「存在を消すことなんて出来るのか?まず、お前はじいちゃんの存在を忘れてないじゃないか。」


「この世からって言ったじゃろ。妾はこの世界とは別の世界にいるから、影響を受けてないんじゃ。」


「そうなのか。それで?契約者って何?」


「貴様、さっき死んだだろ。」


「は?俺が死んだ?」


「首吊り自殺じゃ。見せてやろうか?」


そう言って、元の世界の様子を映像とさはて見せてきた。


確かに俺は、確かに首を吊って死んでいた。


でも、その記憶が俺にはない。


「貴様が死んだおかげで、妾と貴様の魂が同調し、一つになり、貴様は妾の契約者となった。」


分からなかった。


どうして、俺は自殺なんかしたんだ?


「聞いておるのか。」


「…。」


「おい、話を聞け。」


「…。」


話が入ってこない。


頭が混乱している。


「はぁ、貴様もそうなのか。」


そう言って、その妖刀ムラマサと名乗る少女は、左手で俺の手を握って、右手を頭に置きながら言った。


「残念だが、貴様はまだ完全には死んどらんぞ。妾が生かしておるからの。死ぬか生きるかは、貴様が決めろ。」


それらの言葉は、全て頭に入ってきた。


今も混乱してるのに。


俺は、またリウナに会いたい。


だから、「生きたい。俺は生きたい。生きてまたあいつと話したい。」


「そうか。なら貴様を現実世界に戻す。そして、貴様の家にある刀を見つけろ。見つけたら、こう言え。顕現せよ。と。」


「分かった。」


「貴様は、妾を救ってくれるかの。」


その言葉は、俺には届かなかった。



戻って来たのか。と言おうとしたのだが、喋れなかった。


それは、当たり前だった。


だって、首を縄で締められてるんだから。


あれ、これまた死ぬやつか。


いやいやいや、そんな事思ってる暇はない。


どうにかして、縄を解かないと。


そうしないと死ぬ。


と思って、バタバタしてたら縄が千切れた。


俺は、お尻から落ち尻餅をついたが、何とか縄を解き、深呼吸した。


「また、死ぬかと思ったわ。」


「確か、刀を探せばいいんだよな。」


刀は昔誰かが伝えたらしいのだが、それが誰だったのかは分かっていない。


そして、何より刀は流通していない。


だから、すぐ見つかるはずだ。


そうして、家の中を探し始めた。


そしたら、やっぱりすぐに見つかった。


見つかったというか、飾られていたから目についたというか。


俺は、その刀を手に取って、「顕現せよ。」と言った。


そしたら、刀が光り、先程まで精神世界で一緒にいた少女が出て来た。


少女は、着物と呼ばれる衣装を着ていた。


その着物というのは、ある国では流行っているらしい。


俺の手にはまだ、刀が握られている。


少女と刀は分離出来るのか。


「何だ。ジーッととこっちを見て。」


「いや、やっぱり可愛いなと思って。」


「な、何じゃ貴様。妾に喧嘩を売っておるのか。」


ちょっと、頰を赤く染めている。


可愛い。


「売ってないよ。本当にそう思っただけで。それでさ、貴様って呼び方やめてくれ。俺には、ガウル=ミリタルって名前があるんだが。」


「貴様って呼び方は嫌か。では、お前様でどうだ?」


「名前で呼ぶ気はないのか?」


「ない。」


即答かよ。


「はぁ、分かったよ。それでいい。」


「そうだお前様よ。妾の事は、ムラマサと呼んでくれ。」


「分かった。」


「お前様、ステータスキューブって呼ばれてるものを持っておるか?」


ステータスキューブとは、アーティファクトと呼ばれている。


アーティファクトは、神代に創られた今では再現できない魔道具なのだが、ステータスキューブは、身分証明に便利故に、複製されている唯一のアーティファクトなのだ。


神代とは、神やその眷属達がまだ地上にいた時代の事。


「はい。これでいいか?」


そう言って、俺はステータスキューブを渡した。


ムラマサは、ステータスキューブを受け取り、そのまま口の中に入れた。


「何してんの?」


「ちょっと、黙っておれ。」


ステータスキューブの大きさは、2cm×2cmの正方形だ。


俺は、言われた通り黙っている。


ムラマサは、ステータスキューブを舐めている。


飴玉みたいに。


それから、ステータスキューブを口から取り出し、渡してきた。


数分間舐め続けられたステータスキューブは、濡れていた。


当たり前だけど。


「何のために舐めたんだ?」


俺は、服でよだれを拭きながら言う。


「ステータスを見れば分かる。」


俺は、ステータスを見るために少ない魔力を、ステータスキューブに注ぐ。


そうしたら、ステータスキューブは、青く輝き、ステータスを浮かび上がらせる。


ガウル=ミリタル ヒューマン 15歳 レベル1

職業 村人

【HP10/10】 【MP10/10】

攻撃 10

防御 10

敏捷 10

魔力 10


固有スキル

【超成長】


綺麗に10が並んでるわ。


まぁ、10が村人の平均値なんだけどな。


そして、俺は固有スキルという項目が目についた。


「【超成長】なんて覚えてたっけ?」


「お前様よ。【超成長】は、妾と契約した者に与えられるスキルじゃ。」


「そうなのか?それで、【超成長】の効果って何だ?」


「知らん。」


「何で知らないんだよ。」


「与えられるスキルは、ランダムなんじゃ。スキルの効果なんていちいち覚えられるか。」


スキルの効果くらい覚えておいてくれよ。






























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