やっぱり迷子な雌牛たち
「ねえ、今日で何日目?」
「ええと…………二週間は経ってるかにゃー?」
「残念なだけど昨日で三週間目に入ってるよ」
「え…………にゃんで分かってるのに聞いたの…………?」
「ミーシャが分てるかどうかの確認だよ。まあ、わかってなかったようだけどね」
「からかってるにゃー!?」
本隊から完全にはぐれてもう三週間ですよ。僕たちは遭難者と言われても否定できないよハハハ。
もー、笑いごとじゃないって!いつ猿どもがここに追いつくかわからないのに三週間も遭難してるってただの間抜けだよ!
こんなところ恥だし他のみんなに見せられないよ…………
「にゃんかこの生活も楽しくなってきたにゃ~」
「それ本気で言ってたら殴るよ」
「にゃんでマジトーンにゃの!?にゃ、にゃにか悪いことした?」
かなり能天気なミーシャは分かってないようだけど、今僕たちをつけてるのがいる。足音からして体重は50もないかな。おそらく猿人間だと思うけど、こちらに害意はなさそうだ。
「んにゃー、そこにいる人はこそこそしてにゃいで姿を現したらどうかにゃー?」
「あ、ミーシャは気づいてたんだ。まあ、気配はともかく匂いはごまかせてなかったからね」
がさっと茂みが動いた。ずいぶんと安直なところに隠れたなー。それでも姿が見えないのはすごい、のかな?
そこから現れたのフードを被った青年だった。むう、あと三十年ほどかな?
「いや、まいった。ちゃんと隠れてるつもりだったのに臭いでばれちゃうとはさすがは獣人だ。迷子になってたから舐めすぎてた」
「ま、まいごじゃにゃい!」
「いや、十分に迷子だよ」
第三者がみたら全員が遭難してるって言うよ?事実だから積極的に否定はしない。馬鹿とか言われたら全部ミーシャに罪をなすりつけてぶっ飛ばすけどね!
あと隠れてるのは3人かな。なんかつたないところがあるような気がするけどこれが普通なのかな?
そう思ってたら残りの3人も姿を現した。若い人ばかりだ。僕らも若い部類に入ってるけど、僕に至っては3歳児だ。もうすぐ4歳になるはず。僕が生まれた日にちなんて知らないからね!
まあ、年齢の話は置いといてっと。
「君たちは誰かな?少なくとも冒険者のような身なりじゃないよ。シーフなら別だけど」
シーフとは盗賊のような職業だがれっきとした職業であり、大まかな偵察や人型の魔物から持ってる武器を盗んだり、誰かが遺した鍵付きの宝箱を開けたりと様々な役割を持っている。
必要のない職業なんてニートくらいだよ。
「我々はこの森に住む一族です。そして我々のテリトリーに入ってきたのが貴方たち」
あ、話が見えてきたぞ。
「まあ…………ただの遭難者の様ですけどね」
「だから遭難してにゃいにゃ!」
「そこつっかかる事じゃないから落ち着きなよ」
「年長者が幼女に窘められてる」
「わー、なんかすごい図。そういえば、あの獣人って見た事ないような…………牛の獣人っていたか?」
「にゃにゃ、よく気がついたにゃ。この方こそ新たな『原始の種族』だにゃ!」
なんで君が胸を張って言うのかなー?むしろそれ僕のセリフだよね?ねね?やっぱ牛乳抜きにした方がいいかな?
ちょっと顔を見合わせたのち、しばし待てと言われたら彼らは集まって何かを話し合い始めた。
ま、到底信じられないよね。僕だって見た事ない種族とはいえ伝説の人間だなんて言われたらにわかに信じ難くなるよ。
「にゃんか余計にゃこと言った?」
「うん、とっても余計なこと言って混乱させちゃってるよ。戦場で役に立ってる?」
「にゃんでそんな事心配されなきゃいけにゃいにゃ!心外だにゃ!」
めっちゃ心配になるこの頃、この子本当に大丈夫なの?実際、割と強いけど抜けてる部分があるから迷惑かけてるんだろうなーと僕は思ったり。
そんな僕もチームプレーなんてした事ないから人の事を言えない、かな。
森の住人の話し合いが終わり遭難の日々がようやく終わるのに20分くらいかかったとさ。やったね!
しばらく迷子だった主人公さん、何か一言
雌牛「弱い熊よりワイバーンとかぶっ殺したいとずっと思って過ごしてた。ようやく解放される!強いのが僕を待ってる!」
やだこの雌牛戦闘狂…………




