表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/26

牛の正蹄

 さて、アッシュさんの便宜もあってなんとか街に入れたよ。むふふ、家畜生活と修行だけの僕にとって未知の世界だ。


くふふ、僕は今ローブをかぶってるしまともに人と顔も合わせてないから始まりの人間と認識されてないよ。


 つまり、アッシュさんとかに見つからない限り正体を隠せる!やりたい放題だじぇ!


(注)やりたい放題な訳ないです。


 さぁてっと、おこづかい貰ってるけど、なんかを買う前に冒険者が集まるところ、たしか冒険者協会(ギルド)に行こう。サッサっと冒険者登録して驚かせてやろう。


 さて、ギルドの場所はあそこだね。でかでかと冒険者協会ってこの世界の字で書かれてあるよ。


 よぉし!僕、行きまーす!


 ウエスタンな開くタイプの扉を開け…………何で扉が僕の身長より高いところにあるの?なんか悔しい!


 仕方なしに扉をくぐっていくと二つのカウンターが目に入った。


 一つは後ろに酒が置いてあるのを見てこっちは関係ないと瞬時に判断した。ということは、こっちのカウンターだな。


 くっ、ここのカウンターも高い。登らないと受付の名も知らぬ男性にすら顔を合わせることすらできない。よし、登って…………



 みしっ…………



 あ、少しやばそうな音が聞こえた。けど気にしない!


「ここが登録するとこ?」


「お嬢さん、依頼のほうはあちらですよ」


「いや、冒険者の方」


「はぁ、分かった。試験があるからちょっとこっちに来て」


 なんか、『またか』みたいな顔をした受付の人が僕を地下まで誘導して広い運動場みたいなところに案内した。


「それじゃあ、後は頼みましたよ」


「おうよ!」


 受付の人は大きな木刀を持った軽装の頭の禿げたおじ様に後は託したようだ。


 試験というのはあのおじ様に実力を見てもらうことかな?なら簡単だ。ローブが捲れない程度に暴れるのみ!


「よお嬢ちゃん、俺様が試験官のジョームズだ。名前は後でいい、さっさとこいや」


「うん、分かった!」


『牛蹄拳・一ノ段階』、その技の名は『正蹄突き』


 本来なら正拳のところを手を平手にして突き出す技。これも初歩の初歩にして始まりの拳也。突撃する速さと蹄を突き出す速さ、そして押し出す力が合わさり破壊力を出す。


 突然の子供とは思えないほどの突撃に驚くものの、この蹄から繰り出された技を木刀で受けたおじ様は大したものだと思う。


 まあ、木刀ごときでこの蹄を止められることはできない。真っ二つにしてそのまま死なない程度におじ様の腹にぶち込んだ。


「がっ!ぐぁぁっ!?」


 吹き飛んでいくおじ様は壁に激突して壁を大きく壊した。あ、これ威力間違えたかな?


 でも、おじ様は大怪我っぽいけど何とか立ち上がれてるから結果オーライでしょ!


「ジョームズさん!一体なにやらかし…………は?」


 壁を壊した時に発生した大きな音に駆けつけた受付の人はおじ様の怪我を見て大きく口を開けて固まった。


「嬢ちゃん、お前何者だよ、ゲホッ!」


 えーと、これどう収拾つけよう?ローブは取れてないから正体はまだ隠せるけど…………


 えーい、このまま無理矢理何とかしちゃえ!


「なに、ただの正蹄突きです!」


 僕はドヤ顔でそう言った。その後、受付の人に首根っこ掴まれて連れられていきそうになったので正蹄突きをぶちかまして病院送りにしましたとさ。

雌牛「なしてこうなったし」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ