宿題しなくちゃ
「宿題しなくちゃ」
脈絡もなく浮かんできた言葉にぼくは小さな違和感を覚えた。
宿題とかいうものに楽しい思い出なんてあるはずもなく、
足枷のように絡みつく
ぼくらの敵といったら大袈裟だけど
そんなものだったはずの宿題に
ぼくはひどく独善的な魅力を感じていた 誰かに宿題を与えて欲しかった。
自分の中のアレコレなんて見えなくなる位の難問を、
でも、もう宿題は与えられない、自分で見つけるのは
課題だとかそんな形にもならない感情の切れ端だったり
それならお互いに宿題を出そうか、
ぼくは誰かに向けての宿題を考えた。
答えを持つ人なんていないかもしれないけれど
答え合わせも成立しない不合理なこの宿題を
出題者と回答者が一緒になって微笑みながら考えられたら
多分それはとても素敵なことだと思う




