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人には見せられません。

マル秘ノート


私の名前はリゼ。フルネームはリゼ・ミレニア。


東の魔王に長年仕える悪魔のお父さんと妖狼族のお母さんの娘で七人兄弟の五人目。


兄達は上から順にラビ、ラロホン、ラゼル、ライカと名前の最初にラがつく。


ラビ兄は、真面目だけど、実はかなりの甘党。いつもアロハシャツを着てる。


ラロ兄は、ラゼル兄といつも一緒。お料理がとっても上手でおやつを作ってくれる。


ラゼル兄は、面白い事が大好きでラロ兄と一緒によく悪戯してはラビ兄に怒られてる。


ライカ兄は私と双子の兄。一緒に実験とかしてる。最近は兄弟の中で一番背が低いのが悩みだとか。


弟は二人。ルノンとルイ。

ルノンはオタクでルイは天然。二人ともよく人間界に行く。



そして今日も、私はいつもの日課である散歩(家の周りにある森を歩く)から帰り、暇だった為、ルノンの部屋に行った。ルノンの部屋には、人間界の最新のパソコンやゲームが置いてあるため暇潰しには最適なのだ。



「ルノン、入るよ」



一応言ってから入る。萌えキャラのフィギュアが半分を占領する机の上に二冊のノートが置いてあった。


珍しい。ルノンの部屋でノートなんて何年ぶりに見ただろう。


と、中身が気になるため少しぐらい見てもばれないかと、まずは青い表紙のノートを見てみる。


一つ言おう。私には無理だった。ハードルが高すぎた。表紙をめくった瞬間、後悔した。


な・ん・な・ん・だ、この絵は!!



なんか、ラビ兄とラロ兄とラゼル兄に激似のキャラが書かれている。細かく設定まで書かれていた。キャラの名前がウサギとラーロ、ラゼ。あっ、マジで兄達がモデルだ。


ついでにストーリーが…ああ、恋愛物でした。腐女子の方々向けの。



ページを捲った。



…ラビ兄総攻め。リバアリ。絵で具体的なのを書かないでください。



と精神にダメージが蓄積されたので、赤いノートを見てみる。



…これはこれだった。


ルノンの観察日記と書かれていた。



『○月○日。今日から日記を書く事にした。今日は、雨が降っていた。ライカ兄貴が、自分の部屋の中でオリジナル藁人形を片手に変な踊りを踊っていた。俺が部屋に行くと俺にも踊れと藁人形をくれた。釘があちらこちらに刺さっていた。願いが成就すると人間界で噂の踊りらしい。白い着物を着てハゲのカツラを被り、必死に踊っていたが、俺が見た限りでは、願いが成就するよりも相手を呪い殺す踊りのような気がする。後で、誰にその踊りを教えてもらったのか聞いたら、ラロホン兄貴に教えてもらったらしい。ちなみにライカ兄貴の持つ藁人形には金と実験台と書かれていた。ライカ兄貴にもらった藁人形はネットのオークションに出した。全く売れなかった。姉貴のおやつを全部食べた。変わりに部屋に新品のマネキンを置いてみた。今日は眠いのでまた明日』 



犯人お前かよ!!おやつの恨み許さん!!


つかライカは藁人形の踊りを踊るな。いくら実験台がほしいからって藁人形は止めろ。



「次のページも見てみよ」



『○月○日、姉貴の部屋に置いた新品マネキンに服が着せられていた。フリルが沢山付いたピンクのワンピース。今日もライカ兄貴の部屋に行くと、ラロホン兄貴とラゼル兄貴も踊ってた。もちろん藁人形も増えていた。親父がお袋と人間界に行った。旅行らしい。ライカは藁人形の踊りを踊りすぎで筋肉痛になっていた。イチヤが踊っているビデオを炎真に見せたら大笑いしていた。次は何の悪戯をしようか』



別にマネキンに服を着せても私の勝手でしょ。


ライカ兄、湿布貼りまくって湿布臭かった。



『○月○日、兄貴達が出かけている間に、兄貴達のクローゼットの中身を全部メイド服とナース服、セーラー服に入れ替えた。下着もピンクの女物にしてみた。ラロホン兄貴が部屋に行ってすぐ悲鳴が聞こえ、鼻血を出しながら俺の部屋に来た。流石にやり過ぎた感があるので謝ろうかと思ったがラビ兄貴とラゼル兄貴から凄まじい殺気を向けられ謝罪を諦め逃げることにした。家の中で恐怖の鬼ごっこをした。ラビ兄貴は般若みたいだった。ラゼル兄貴はニコニコ笑顔で(目が笑ってないし殺気と怒気を出しながら)、ライカ兄貴は色々な薬品片手に追いかけて来るのだ。マジで怖かった。ホラー映画より怖かった。最後はちゃんと土下座して謝った。五時間も正座して反省文を十枚も書いたし。しばらく悪戯は止めようと思った。ついでに、ラロホン兄貴は喜んでた』


ああ、だからみんな真っ青だったんだ。



ルイが珍しく私の部屋に居たのも避難していたのか。





『○月○日、昔ライカ兄貴が買った宝くじをニヤニヤ見ていた。詳しくは分からないが当たったのだろう。ニヤニヤしたり鼻血をだしたり階段からコケたり鼻歌を歌ったり謎の踊りを踊ったりスーツを着て鏡の前でポーズを決めたり、ご飯にチョコレートケーキ、アンコを乗せてカスタードクリームをかけた味覚破壊兵器を食べていたりと普段の何倍も可笑しかった。勿論ビデオに撮ったが、そのビデオは魔除けの道具にしようと思う。


追伸、親父が隠してたエロ本がお袋に見つかり、親父の髪型が坊主頭になった』



あれは、もしや頭を打ったんじゃないかと頭の怪我に詳しい人間界の病院のリストをラゼル兄と一緒に調べて渡したんだよね。ラビ兄も心配してたし。



「つか魔除けって私達、魔族じゃん」



魔除けのビデオを今度探してみようかな。



「青い本はともかくこれ「リゼ、どうしたんだ?」


ビクッ。


「ラロホン、いきなり背後にいるのは心臓に悪いよ」

「ラゼル兄の言う通りだよ」

「リゼ、今から人間界に行くが、一緒に行くか?」



背後からの聞き慣れた声にバッっと二冊のノートを放り投げ、飛び退いて距離を取る。二冊のノートが兄達の足元へ落ちる。


「何でそんなに驚いているの?」


真っ青な顔で固まる私。ラビ兄がノートを拾う。赤いノートを開いた!!

両脇から三人の兄達も除き込む。


「も、モモハのだからね。二冊とも」


ルノン、君の骨は私が拾いに行くよ。



「へぇ。あの踊りは冗談だったんだ」


「アハハハハ…」



段々負のオーラを放出する兄達に私は後退る。



頼むから青いノートは見ないでよ。私じゃ無いからね。ルノンが描いたんだからね。と心のなかで言い訳しまくる。


が、世の中そう都合よくは行かない。



「こっちのノートは…」



青いノートをパラパラ。



兄達、絶句。(@ ̄□ ̄@;)!!


ノートを閉じ壁に頭をゴンゴンぶつける。



もう一度ノートを開き確認。


ニコニコ。ニコニコ。


「なあ、リゼ。確認だがこの絵を描いたのはルノンだよな?」



コクコク。首を縦にふる私。



「そうか。ルノンはよほど暇なんだな。ああ、そうだ俺の部屋に、今すぐルノンを呼んできてくれないか。ついでに、一時間以内に来ないと机の上に飾られたフィギュアを五分ごとに一体づつ灰になるまで燃やすからな、と伝えてくれ」



笑顔を浮かべ激怒しているラビ兄に私は逆らわないことを選び、背中に羽をはやして窓から外に飛び出した。


その後の部屋での会話。


「ねえ、ルノンを新薬の実験台にしても良いかな?」


「あいつ、暫くの間メシは全部くさやだけにしようか」


「アイアンメイデン、オリジナルバージョン三号を試すにはいい機会だよね」


「ルノンには灸を据えねぇとな」


そこには、まさしく悪魔がいたとか。



……その後ルノンを一週間見かけることはありませんでした。




作者はくさやを買う夢をみたので、くさやが登場。実物は見たことありませんが…。

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