あのとき油断をしなければ…
この話はノンフィクションです。
作者が実際に体験したお話です。
あのときの気持ちは今でも覚えています…
俺は今、学校の帰り道を自転車に乗って走っている
時間は6時半、季節が秋なだけにやけに暗い
こんな時間に帰る事は滅多にない
…いつもと違う帰り道はそれだけで恐怖を感じる
こんな田舎道を通る車もまったくといってない
真っ暗な夜道にオレンジの街灯が灯って恐怖をさらに煽る
そのときであった、遠くの方の道に黒く小さい山が見える
このあたりにはよく狸や猫の死体がある
いきなり飛び出して車に轢かれてしまうためだ
幽霊だとは思わないがこの暗い道で死体を見るのは嫌だ
少しドキドキしながら近づいていく
……枯れ葉の山だった
このあたりの住人が掃いてそのまま置いておいたのであろう
少しホッとした
だがこの暗い空間の中では些細な物でも大きな恐怖を感じてしまう
古びたカーブミラーが見える
俺はこのカーブミラーを見た瞬間、写るはずのない物が写っていたらどうしようと思った
まあそんなものは杞憂に終わるのだが
そこからただの看板の影に怯えたりいきなり飛び出してきた猫にびびったりしながら帰り道の半分ほど走った
今度は街灯の明かりもなくなり自転車のライトのみを頼って走る事になるとまた恐怖が押し寄せてきた
そこで俺は鼻歌を歌いながら帰る事にした
今流行の歌を歌いながら走ると少し、恐怖感が薄れる
いかにも何かでそうな橋を渡るともうすぐ国道に出るというとこまで来た
国道に出れば街灯が多くなり、車の通行量もかなりあるので恐怖を感じる事はまったく無くなる
……今考えると国道に近づいた事により俺は油断をしてしまったのかもしれない
気づいていなかったのだ、気配を
ガサッという音が聞こえる
俺は無くしていた恐怖が蘇ってくるのを感じた
そして恐る恐る音のした方向を向くと……
田んぼ、そしてそこから帰ろうとしている農家のおばあちゃんがいた
これは悪夢か、否、現実だった
俺は蘇ってきた恐怖の変わりにとても恥ずかしくなってしまった
なにせ調子に乗って少し音量を上げた鼻歌を聞かれてしまったのだ
速度を上げてすぐさまその場を離れる
おばあちゃんがどんな顔をしていたのかは暗くてわからなかったが間違いなく鼻歌は聞かれていただろう
恥ずかしくてたまらなかった
そのあとは特に何事も無く国道に出て、家に帰ることが出来たが、そのときの気持ちは今もはっきりと覚えている。
まず、こんな馬鹿みたいな話を読んでくれてありがとうございます。
どうでしたか?
皆さんにもこういう体験はあったのではありませんか?
そういうときはまさに顔から火が出ますよね。
また投稿することもあるかもしれないのでそのときはよろしくお願いします。