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第9話~信じたい~

 新しい登場人物です!

 時々現れるBRを倒しながら、放送室に向かう。それまでに何度死に掛けたか。 そうしていき、とうとう放送室の前に着く。

「む? 扉が開かんの」

 扉に手をかけた文美が言う。僕も開けようとしたが、鍵がかかっているらしく開かない。


『おお。そこにいるのか。素晴らしい! ここまで来た人間は久しぶりだ!』

 また放送がかかる。やはりこの中にいるようだ。こちらの声も聞こえるらしい。


『俺の名前はヒューズ。そしてだ。お前たちをここまで呼んだのは他でもない。俺をここから出してくれ。閉じ込められているんだ』

 閉じ込められている?なぜだ?普通の人間ならすぐに殺されるはずなのに。

「その前に。お前は何者なのだ? ここらにいるBRと何か関わりがあるのか?」


『正直に言うと、俺はBRだ。しかし、その辺にいる奇声をあげるやつらとは違う。俺は完成体だ』

 BRだって? しかも完成体?

「文美。こいつ、ああいうBRとは違うって言ってるよ?」

「ああそうだな。しかし、お前を出して予たちに襲い掛かってこないという保障はあるのか?」

 それもそうだ。BRは今まで見てきたところ、時間がたつにつれ知能が上がっている。かなり上がったものなら、人間を騙すことだって簡単だろう。


『それに関しては俺を信じてくれとしか言えない。しかし、俺はお前らに協力したいから正直に言ったのだ。ここまで来る人間といったら、関係者か冒険野郎だ。お前らは冒険者に近い者だろ?』

 このヒューズとか言うやつ。関係者とか、冒険者。などの言葉を言うからして、ここをよく知っている人物だろう。それにしても、関係者とは何だ?

「それだけでは信じれん。ヒューズとやら、なぜお前は閉じ込められている」


『それを教えたら、ここから出してくれるか?』

「答えによっては無視するがな」

 文美の言う答え。というのは、その理由があいまいな場合だろう。きちんとした理由でないなら、騙している可能性が高い。


『いいだろう。俺は、BRの完成体だ。しかし、不完全体にしては俺は敵だ。しかも、俺の方が強い。なら、閉じ込めるしかないだろう。ってわけで、数の暴力に負けて閉じ込められたんだ』

 完成体。不完全体。まったく意味がわからない。

「ねえヒューズ。完全体とか不完全体とか。なんなの?」


『グゥゥ……。もう限界だ。俺はもう出たい! それを教えて欲しかったら俺を出すんだ! 約束する。俺は絶対にお前らに協力する。絶対だ』

 そうは言っても……。

「ふむ……。康雄。お前はどうしたい?」

「え。なんで僕に聞くの?」

 こういうときは、もしもの時に戦う文美が決めるんじゃ……

「予にはわからない。こやつが嘘を言ってるのか。それとも、真実なのか。予は真実を問わず命令を実行してきた。何があやまちで何が善かわからない。主が決めろ」

 文美はそんなこと考えながら戦っていたのか……。でも、僕にだってわからない。でも……。

「わかった。ヒューズ。君を助ける。どうやったら鍵を解除できる?」


『おお! 本当か! やったぞ! よし。この先に中央制御室と書かれた部屋がある。そこで、放送室。つまりD-4の部屋のロックを解除してくれ。俺はここで待ってる。解除したらまた来てくれ』

 中央制御室。D-4の部屋。よし。

「文美。行こう」

「ああ」



「ここだな」

 すぐそこに制御室はあった。中には、あのイージスドームにあった機械室にあったようなコンピューターがたくさんあった。

 その中の、一番奥にある機械に研究室の地図が映し出されていた。

「あった。これでD-4を……」

 地図で放送室を探す。その間に、文美はある質問をしてきた。

「なあ康雄。主はなぜ、あやつを出そうと思った?」

 助けると答えたときから、いつかは聞かれると思っていた。

「そりゃ……。僕が他人を信じたことがなかったから……かな?」

 文美が不思議な顔をする。無理もない。普通この言葉なら、ヒューズを信じない理由になるから。でも、

「一度もなかった。文美とコニー。父ちゃん以外の人を信じたことが。だから、僕は信じてやりたかった。冒険者って言ってたし、きっと来た人がいたんだろう。でも、信じてもらえなかった。なんだか、昔の僕みたいでね」

 

 昔の僕は。いじめられっ子だった。誰に何を言われても、笑って返す。そうしているうちに、面白いと感じられたんだろう。

 「やめてよ」と言った。でも、どうしても弱い心が出て、笑いながら言ってしまった。そのせいで、いじめられるのが楽しいと感じられた。

 そのときは、コニーも文美も学校に来てなかったから、支えがまったくなかった。「嫌」と信じてもらえる人がいなかった。



「ぬ……。すまんかった」

 文美が謝る。きっと、その場にいれなかったことについてだ。

「文美は謝らなくいいさ。もちろんコニーもだけど。だって、ヒューズを出した理由はもうひとつあるんだよ?」

 僕は、信じてみたかった。「人」というモノを。

「危なくなっても。文美が助けてくれる。僕が一緒にいる間はきっと。そう信じたからだよ」

「康雄……。ああ。予は絶対に主を守りきる」

 ふふ……。やっぱりそうだ。文美の言葉を聞くと勇気が出る。なんでなんだろうな……


 D-4を見つけ、ロックを解除した僕らは急いで放送室へ

「う……」

「まさかこうだとは……」

 放送室に行くと、おそらくヒューズと思われるモノを発見した。でもまさか……

「本当にありがとう! これで俺は自由だ! お前たちには何て礼を言えばいいかわからん!」

 大きな体。緑色の肌。筋肉。一言で言って怪物だ。そんな巨体がヒューズなのだろう。想像していた感じと恐ろしく離れていてショックだ……


「さて。教えてもらおうか。ウイルスなどなどを」

 ここからは難しい用語も含めた説明だったので、僕はまとめると。

・BRウイルスは、もともとは自然発生したものではなかった。


・魔族に勝てる人間を作り出すために開発された人体強化ウイルスだった。


・しかし、実験途中にあの化け物が現れ、ウイルスは途中の段階で拡散してしまった。


・そのウイルスは、感染すると筋肉を強化するウイルスだったが、生きることが苦難な環境で拡散したため、どんな環境にも適応できる体を作るを優先したウイルスと変貌した。


・時が流れ、ウイルスは人体というパレットで更に進化し、とうとう知能と筋力が更に上がったものとな

った。


・ヒューズには、良い方向に進化したウイルスが感染した。それのおかげで、人間時の記憶は消えたが、脅威の記憶力とパワーを手に入れた。


・しかし、知能が中途半端に発達した感染者は自分たち以外の者。つまり感染していない人間を消すという思考回路になっていたため、常識を知ったヒューズを危険と感じ閉じ込めた



「どうだったのか……」

「でも。なぜそんなことを知っている?」

 ただ閉じ込められていたなら知っているのはおかしい。

「俺はこの体になる前の記憶がなかった。だから、一番近くにあったここに居座って資料や実験成果を読み漁った。そしたらどうだ。全部一回目を通しただけで覚えてるではないか。それで、閉じ込められた後でも覚えてたんだよ」

 つまり、永遠無限の記憶能力?う、羨ましい。そんな能力があればテスト満点祭りではないか。


「さて。俺はここから出て、以前の記憶を取り戻す術を探したいが……。検討もつかん。しばらくここに残るが。お前たち、何か困っていることはないか?御礼がしたい」

 おや? このBR紳士だな。困ってること……? 

「ならばヒューズ。主は時計がどこにあるかわかるか?」

「時計? それって、あの時刻というやつを一目で見る道具か? それなら、あっちの部屋にあったぞ。案内しよう」

 そうだった。時計だ。あれがあれば、また時間移動ができる。コニーがいなかったら意味ないけど。



「ギギッ? ヒューズ!? ナゼオマエガココに!?」

 うろついていたBRがしゃべる。ここのBRはかなり知能が発達している。

「む? また貴様らか! さっさと始末して……」

「お前らには恨みがタップリある……。ストレスとともに消えてもらおう……。塵すら残さんようにな……」

「「!?」」

 え。怖っ。ヒューズさん怖い。とくに顔が。もともと怖い顔だったけど、更に怖い。悪魔だ……。

 ヒューズは強かった。一振りのこぶしでBRの頭を数メートル飛ばす。おそろしい。



「そういえば。まだお前たちの名前を聞いていなかったな。教えてくれよ」

 そういえば言ってなかった。でも……。本名って言っていいのかな? まあ過去じゃないし大丈夫か。

「僕の名前は橘康雄です。こっちは、弓矢が得意な、くさな…」

柳生文美やぎゅうふみと申す」 

 草薙と言う前に文美が横入りで言ってきた。え?誰だよ。その名前。

「(予は国の裏で働く身。いつどんな時でも本名は教えてはならん。主とコニーは別だがの)」

「(そういうことですか。てか柳生って誰!?)」

「(柳生文美とは、予が今つけた新しい偽名だ。カッコいいだろ?)」

 そもそも未来に本名もくそもないと思うけど。まあいっか。にしても柳生って。 江戸時代ならありえるかもしれないけど、今は聞かないな……。するとヒューズが不思議なことを

「柳生文美か? その名前。歴史書で見たぞ。日本で活躍した正義の味方とかだったな。子孫か何かか?」

 え?正義の味方?おかしいな。今考えた名前だし。そんな名前の人他にもいたのか……。



「おおこれだ。これだろ?お前らが探してる時計って」

 その手に持っているものは、確かに時計だ。ちゃんと動いてる。少し汚れている懐中時計だ。

「助かったぞ。礼を言う」

「おいおい。礼を言うのは俺だろ? まあいいさ。……?まさかっ!」

 一瞬静かになったかと思うと、ヒューズは怖い表情をいきなり焦りに変え、入り口に走る。

「まずい! 手遅れだ……」

 するとヒューズはそういいながら、後ずさりで僕らのもとへ。

「おう文美。お前は戦えるんだよな? お前はすまんが俺の援護を頼む」

「む? いいが、どうした?」

 急にどうしたんだろうか?とても焦っている。

「康雄は影に隠れていろ。不完全体が来た……」

 なんだ。大丈夫だよ。文美とヒューズがいたら何でも倒せるさ。そう思っていたが、一瞬でぶち壊された

「オマエモコレマデダヒューズ!」

「サンニンマトメテシネェ!」

 その数は数えられない。もしかしたら百いるかもしれないほどの、BRが部屋に入ってきた。すぐに囲まれ、絶体絶命だ……



どうなる三人!

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