番外編~康雄の思い出④~
「うあ……く、くるな!」
康雄目の前にはもう熊が来ている。念のため言っておくが、康雄は幼稚園児。泣いてもしょうがない状況、なのに、文美やコニーのため、必死に耐えている。
「グァルルル……」
すると、熊は康雄の前でとまる。
「た。食べるなら僕を食べろ! 文美とコニーには会わせないぞ!」
康雄は大きく手を広げる。そして、熊は爪を高く上げ、康雄に振り下ろす。
「ひぃっ!」
間一髪で康雄は避ける(転んだ偶然)。だが、熊は再び振り下ろそうとする。
「みょ……みょうだめだぁ……」
そう小声で言ったとき。何かが後ろから飛んでくる。
「ぐぅ……」
矢だった。その矢は熊の肩に当たる。
「待たせたの! 康雄!」
「お約束のヒーロー登場だぜ?」
この康雄の危機を待っていたかのように(実際少し待ってた)二人が登場する。
「グァルルル……」
「おぅっと! そこの熊やろう! 残念だがお前の出番はここでシメーだ。持ってきた道具(材料は康雄のゲームやら)で作ったこいつでな!」
するとコニーは何やらデカイ銃型のものを取り出す。
「熊よ。正当防衛とはいえ、主は人命を奪った。その罪、哀れながらも死で償うがよい」
文美がそういうと、コニーが熊に銃型を向ける。すると熊は危険と思ったのか、コニーに突進してきた。
「さあこれで最後だ! くらいな! コニー特性レールガン!」
その銃から発射されたものは、大きな音を放ちながらまっすぐ熊の頭へ直撃した。放った弾は、輝きながらも熊の頭を貫き、どこかへ飛んでいった。
「レールガンって……どうやったらあの材料で作れるのさ?」
「企業秘密だぜ」
「主は野蛮なものを作るの~」
まあそんな会話をしていたが、熊が倒れる音で、やっと目線がそっちに向かった。康雄は、熊の首がなくなりグロいものを見ることを恐れていたが、そうではなかった。
「??」
「機械……?」
「ほほう……」
熊の首からは、何本かのコードが伸びていた。そして断面には機械がびっしり。火花を散っている。
「てことはなんだ? この熊野郎は、ロボットだったのか?」
「ふむ。しかし。まだ人工知能つきの動物ロボなど聞いたこと無いぞ?」
「ポカーン」
一応言っておくが、これでも三人驚いている。
その三日後。無事に三人は保護された。熊も翌朝起きると、なくなっているし。三人は訳が分からなかった。だが、流石幼稚園児。もうどうでもよくなっていた。
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「おい。お前らってなんか都合いい時に年齢に戻ってないか!?」
「え? そう?」
まあ確かに。あの二人は年齢離れしてるけどさ。
「もっとマトモな話はないのか!」
「そうだな……。高校で……」
「おお。今度はまともな……」
「テロリストを撃退した話かな」
「ォォォォォォォ」
ヤバい。ヒューズの顔があの世に逝きかけている。
「久しぶりに三人集まった日に、皆でデパートに行ったんだよ。そしたら、テロが起きてね……」