第19話~相撲~
「第一戦目。大相撲賭博。力士の紹介です!」
会場には、たくさんの人が集まっている。中には護衛らしき人がついてる人もいた。
相撲が行われる場所。そこは、円状の縄がある。その周りには、賭け人が近寄らないよう紐が張られている。
「人数は6人。馬上槍試合で行います」
アナウンス。ここでは司会人がしゃべる。ちなみに、馬上槍試合とはトーナメントのことらしい。おそらく、六大都市のそれぞれから人が来たのだろう。ヒューズはここ京都からだ。江戸からのは大馬主が選んだ超人に近いやつららしい。
てか、5人も普通の人がいるなかで、緑肌のヒューズがでて大丈夫かな? ニコーは、「大丈夫だ。俺の技術があれば、普通の人と変わりなくできる」って言ってたけど。
考えているうちに1人目がでてくる。
「横浜からの力士。麻野浜~。本名は栗方源治です」
背の高い男が出てくる。あまり太ってはいないが、力は強そうだ。てか本名言うんだな。そして二人目。
「名古屋からの力士。芦野堅~。本名、林道喜一です」
今度は体系のでかい男。背はとくに高くない。押しで勝っていきそうなやつだ。
「大阪からの力士。大国主~。本名、久慈方才治郎です」
さっきの芦野堅よりは痩せているが、十分体系は太い。
「神戸からの力士。荒加野崎~。本名、南方藤次です」
今度は一番太っている。体重も半端なさそうで、押し出すのにはかなりの力がいるだろう。そして、とうとう京都のヒューズが出てくる。
「きょ、京都からの力士…? 未来正義~。本名……翠川彪投?」
……。あ…。確かに肌は緑じゃない。他の人と同じ肌の色だ。多分コニーが塗ったのであろう。だけど……顔が怖すぎる。
髪の毛のない頭。いつもどうりの、眼つきが怖い顔。ありえないほどの筋肉。かなりの巨体。これは人間と思えるのか。会場が混乱してても、最後の力士が出てくる。江戸の超人だ。
「江戸からの力士。金剛力~。本名、無敵三衛門です」
この体は、けして巨体ではない。しかし、ヒューズに負けないほどの筋肉があり、なんでも持ち上げられそうなくらいだった。しかも珍しい苗字だ。これは強敵だ。そ
そうやって全員の力士が紹介され、賭けの時間になる。この賭け方法は、競馬と似ていた。単勝、連勝、三連勝。などといった、一位の人を選ぶ。1位、2位を選ぶ。1位、2位、3位を選ぶものだ。もちろん僕は自信がないのでヒューズの単勝に500円賭けた。
勝負はすぐに終わる。もともとの勝負がすぐに終わるだけあって、一回戦(6人が二人ずつで、一回で3戦ある)は終わった。
ヒューズの相手は、芦野堅だった。試合が始まると、芦野堅はヒューズに突っ込んでいったが、ヒューズの腕一振りで縄の外に弾かれヒューズの勝利。その他の2回戦への力士は金剛力と大国主だ。2回戦では抽選の結果、ヒューズが休みだ。
「多分、金剛力が勝つだろうな……てことは、ヒューズはアレと戦うのか。大丈夫かな?」
そう観客席でつぶやいていると、携帯電話が鳴る。あれ? なんでつながるの? 電波ないはずなのに。そう思いながら電話にでる。相手はコニーだった。
『おお。つながった。いや~よかった』
「コニー。なんで繋がるんだよ」
嫌な予感しかない。
『そりゃ。どこでも繋がるように改造したからだよ。これでお前の携帯、壊れても直してもらえないな』
▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂うわあああああぁぁ
『落ち着け。今から話すことは大事だぞ。あと大声だすなよ? 携帯から音がもれる。今トイレなんだから』
落ち着けって……保障きかねえじゃん! 酷い!!
『別室から見ていたが、金剛力ってやつ。ドーピングしている』
え。ドーピング?
「それって…ずるいってこと!?」
『いや。ルール上には、肉体補佐禁止とは書いていない。おそらく合法だ。気づかれていないだけで』
それじゃ……どうすることもできない?
『まだわからんが、これでヒューズが必ず勝てるという可能性は確実ではない。やつは強い』
それじゃ…祈るしかないの?
『だが。これをなんとかすれば勝てる。うまくいけばだが』
!
「それはどういう!?」
『だから大声は出すな。実は、あいつ。ドーピングがなければ普通の人間だ』
そりゃそうだろ。じゃなきゃそんなことしないよ。
『だから。相撲の技術0だ。だから力で確実に勝てる方法でやってることがわかった』
「確実? そんなものが?」
『ああ。それは、マワシを取ることだ』
ひゅい? マワシを取る? コニーによると、相撲はマワシを取られると負け。つまり、自分のマワシが取れてしまうと負けてしまう。金剛力は、力ずくで奪いに行っているらしい。
「それをどうすれば勝てるって?」
『ああ。だから、ヒューズのマワシが取れた瞬間。つまり、観客の目がマワシにいってるとき、空間転送装置でコレをヒューズの手に送信する』
「コニー。ソレが見えません」
電話ごしに物を出されても困ります。
『おおすまん。コレは、ドーピング反転薬だ。ドーピングしているやつにうつと、逆に筋肉が弱まる薬だ。どうだ? すごいだろ?』
「へーへーすごいすごーい(棒)」
もうこの天才は褒めません。
「でもさ。マワシ取られたら、負けでしょ? じゃあ意味ないじゃん。馬鹿なの? 市ぬの?」
『ふっふっふ。まあ、それは取られたらわかるんじゃないか? とりあえず、それを実行するからな』
「うん。でも、それって僕に言わなくてもよかったんじゃない?」
そんなばれるリスクを負ってまで言うことじゃないはず。
『いや。この薬、注射なんだが。終わった後の注射器の処理をお前にやってもらう』
え? どゆこと?
『コニーには薬と一緒に手紙で伝えるが、力が弱くなった金剛力をなるべく遠くに投げてもらう。その間に、康雄に注射器を投げてくれと伝えた』
……んな勝手にぃ……
『だから。わかりやすい場所にいてくれよ。あと、キャッチにミスって針を自分に刺すなよ? じゃ』
「ええ!? 勝手に言って勝手にきるの!? ちょっとぉぉ! こっちからかからないし!」
酷すぎる。てか、うまくいくのか? マワシの方も。取れたのに負け判定させない方法っていったい…?