番外編~康雄の思い出②~
時間の中心にて。康雄はヒューズに話をしていた。
「……それがお前らの始まりか?」
「そうだよ。いや~懐かしい」
ヒューズは思う。「こいつら変わらないな……」と。
「まあいい。もっと聞かせてくれ」
「いいよ。じゃあ次は……そうだな」
康雄は顎に手を当てて考える。
「よし。僕たちの初めての冒険でも話そうか」
「冒険? そんなこともしたのか。それはいつの話だ?」
ヒューズは、冒険というからには高校の話かな?と思う。が、
「幼稚園」
「……」
康雄の答えにヒューズは言葉がでない。
「といっても、幼稚園から小学校に移る間の休みだけど。懐かし~」
━━━━━━━━━━━━━━入学直前時代━━━━━━━━━━━━━━━
「コニー。どうしたの? 急に集まってくれなんて」
電話でコニーに康雄と文美は呼ばれた。場所はコニーの家。コニーの部屋はすでに研究室だった。
「俺達はもうすぐ小学生。すると、俺はあまり学校に居られなくなる」
「え? どうして?」
康雄はコニーの発言に驚く。
「幼稚園では常識を習った。だが、小学校では勉強がある。俺はもう小学校で習うことは全部知っている。だから、研究をずっとするだろう」
コニーは寂しそうに言う。
「実は予も。あまり学校には居れん」
「文美も!?」
「ああ。実は予が習っていた弓道。全ての流派をマスターしてしまった。よって、山に籠って修行をするつもりだ」
文美も寂しそうに言う。だが、康雄はもっと寂しそうであった。
「うう……そんな…。せっかく友達になれたのに…」
康雄が泣きそうになってると。
「だからだ。俺だって時々くるが、お互い忘れないように……」
文美と康雄がコニーを見る。
「冒険行くぞ!」
「「?」」
もちろん二人は意味不明です。
「サバイバル?」
「ああそうだ。一週間後に迎えが来る。それまで生き残るんだ」
「生き残る。か。いい修行になりそうだ」
そう歩きながら話す。もちろん三人だけのサバイバル。
「始めっから言ってほしったよ~。だって」
康雄は一旦止まり、
「遭難してから言わないでよォォォォ!!!」
その声はジャングル中に響いた。
「すまん。まさか本当に遭難するとは……」
そう。サバイバル、と決めてジャングルまで来たはよかった(よくないが)。しかし、決めてあった場所へ行く途中。完全に遭難した。
「これで本当に生き残りだな」
「嬉しそうに言わないでェェ!? 捜索が来る一週間。見つからなかったらもっと先! それまで生死の淵に立ってるんだよ!?」
ということで、完全サバイバルが始まった。
「まずは持ち物確認だ。何か役立ちそうなものは?」
「持ってるわけなかろうが。冒険としか聞かなかったからな」
「そうだよ。まさかサバイバルとは」
コニーはサプライズのつもりであった。そして持ち物。
・コニー:小型ナイフ・三つの無線機・ライター・工具・溶接機&マスク・導線・基盤・ネジ・はんだこて・発電機
「ちょっと。 コニー、最初はサバイバルだな~って思ったけど。後半何者だよ!?」
・文美:弓矢・矢・弦・的・道着・脇差・縄
「文美は文美で弓道以外のこと考えようよ。自分のことだけじゃなく」
・康雄:カメラ・懐中電灯・腕時計・ゲーム機とゲームの充電器・花火・方位磁石・着替え
「なぜこんなものを?」
「康雄は面白い物を持ってくるな」
「え!? 僕が間違ってるの!? ねえ!」
康雄がまだ普通のはずだ。わからんが。
「とりあえず。無線機を配っておく。ナイフは二本。文美は小刀持ってるし俺と康雄だな」
「これは小刀ではない脇差だ」
どっちでもいい。
「康雄の持ち物は、懐中電灯と方位磁石が使えるな。でもなぜ花火?」
「遊ぼうと思って……」
「はぁ…そうか。文美は、縄しか役に立たないな」
というか文美の持ち物は矢でいっぱいだ。
「さて。まずは夜だ。それを越さないと。どこか、洞窟はあるか?」
そう言われても。ジャングルの奥地。わからないにきまってる。
「洞窟ね……。確かに、この大荷物を置く場所はほしいし。得にコニーのが一番重いね!」
後半が鬼畜すぎる。
「ふむ……。この先に岩の隙間があるな。そこでもいいか?」
と、文美が言う。
「おお助かる! で、どこだ?」
「この1キロと30メートル先だ」
「「……」」
文美の目も鬼畜だった。
「ぜーぜー……疲れ…た」
やっと隙間についた。どうやらここは谷底のようだ。そのしたに隙間がある。
「次に火だな。ライターだけじゃ燃えん。何か燃やせるものは……」
と、コニーは康雄の着替えを見る。
「ふぇぃ!? これ燃やすの!? いやいや! もっと燃えそうなのあるじゃん! 文美の縄とか道着とか矢とか!」
「康雄。文美が許すはずないだろ。縄は普通に必要だし」
康雄は腹を決めるしかなかった。自分の服を燃やすことに。
「ああ……燃えて…いく……赤いな……」
康雄が地味に現実逃避してきた。
「さて。食料はどうする?」
「生き物を探そう。罠でも作ろうか」
「赤い……ぃ…ぅ…ぉぅ…ぅぅぅぅ…」
次の日
「おお。縄で作った罠がここまでうまくいくとは!」
罠には鹿がかかっていた。
「え……この鹿を食べるの……可愛そう…」
「なにお言う。予たちは今まで生き物を食ってきたのだ。今更そうは言えん」
「そう……だね。鹿さん。いただきます!」