ダムに沈みし……
昨日、実家に帰宅したので父に再度話を聴いた。衝撃の事実にコンソメスープを吹き出してしまったので、追記しよう。
前話のトンネルの件だが、あれはG県である。
尚、普通に通り過ぎたのではなく、トンネル内でエンジンも切って停車し、暗闇で待ったそうだ。
そこは、テレビなどでも放送されていた『手形が車体につく』というトンネルだった。
特に何も起こらないのでクラクションも鳴らしたそうだ。
……大馬鹿野郎共である、愚かの極み。
そして何事もなくトンネルを出たところで、一台目の車がパンクしたわけだが。
そのパンクだが、タイヤが刃物で切られたようにすっぱりと切れていたらしい。実際に父がその目で見ているので、間違いはない。
霊が怒って当然だろう。
尚、自宅のドアをノックした不思議な一件だが、それもこのトンネルと同じ日だった。
何処かからついてきてしまったのだろう、私は昨日、夕飯を食べながら父に説教した。
『大丈夫、今は行ってないから』
当たり前だ、今も行っていたら私が怒り狂っているだろう。
さて、父に詳細を聴く前に、自身もHPで調査していた。その為書くことが増えてしまった。
前話に記載していた祠は、次回に持ち越すことにする。尚、A県で間違いはない。
祠を次回に持ち越し、今日は何を綴るのかというとそのトンネルの続きがあった為だ。
G県、トンネル、ダム。この三つが揃えば知っている人はすぐに思いつくだろう。「あぁ、あそこか」と。
因みに、私は仕事中にこれを書いているのだが理由がある。昼ならば人が必ず近くにいるからだ。
決してサボっているわけではない、一応仕事を終えて、書いている。……という言い訳をしておこう。
そのトンネルの近くにダムがある。
私は知らなかったのだが、かなり有名な心霊スポットだったらしい。F県に自殺の名所である崖があるが、そことほぼ同レベルとのこと。
一度沈むと、簡単に上がってこられないのだそうだ。
自殺する人も多かったらしく、よく死体が浮いていたと。今は知らない。
また、そんな状態なので死体を投げ込む人も居たそうだ。そうなると、自殺なのか他殺なのか最早謎である。
去年だったろうか、K湖で冷蔵庫に入っていた女性の死体が見つかったのは。
父曰く、このダムのほうが見つかる可能性が低い気がする。……とのことである。
つまり、死にたくなったらここに身投げをすればよいのか、成程。そんなことは、私はしないが一応覚えておこう……。何かの役に立つかもしれない。
ダムなので、やはり村が生き埋めになっているだの、ダムを造る際に人が大勢亡くなっただの、色々と謂れがある。
真相は分からないが、昔は出稼ぎに来た人達を簡単に雇っていたので、働く人達の詳細が把握出来ていなかった。
その為、喧嘩などで相手を半殺し、もしくは誤って殺害してしまった場合でも、誰が消えたのかわからなかったそうだ。
ダムや、橋を建設している最中にコンクリートの中に人を投げこめばもう、解らない。
人柱状態である、火のないところに煙はたたず、というが、これも恐らくは事実なのだろう。
どのダムや橋かは、もう解らないが。
さて、私はダムが結構好きなのだ。よく観に行くのだが一番近い今から話すそのダムには、実は一度も行ったことがない。
何かしら自分の中で防衛していたのかもしれない、HPは立派なダムなのだが……。
話を戻そう。
トンネルが先なのかダムが先なのか覚えていなかったが、とにかく同じ日に出向いたらしい。
特にそのダムでは何も起こらなかったそうだ。
ただ。
「怖いよ、夜に風も吹いていないのに突然木が揺れるからね。で、ぴたっ、と止まる。何かが木に止まったのか、そこだけ風が吹いたのか。不気味なんだよねぇ」
父は一体何の話をしているのかと思った。
「いや、大きい鯉が釣れるからよく釣りに行くんだよね、夜中に」
行くな、夜中に。
「魚かと思うとさ、何か重いものに引っかかってて。死体かとたまに思う」
とりあえず、行くなら昼にして欲しい。
最近は通っていないが、釣り好きの友人とそのダムへ夜中に行っていたそうだ。眩暈がした。
その風は、本当に原因不明で怖かったそうだ。一度だけでは、ないのだから。
さて、トンネル、ダム。
明日は父の話最終回、祠の話である。医者すら原因不明とみなした、祟り。