御祓
第一話目に『ご先祖様か、神様か、はてさて』を綴った。
簡単に説明すると、
『誰かの誕生日に、家の階段を昇っていく音が聞こえたが、その時家族は全員一階に居た為、該当者が存在しない』
という話だ。
今回、この話に出てきた”神棚”の件で、実家に電話することになった。すると、別の事実を知ったわけなのだが……。
とある件から、神棚を探していた私は不安になった。
実家から消えているように思えたからだ。
何処へ行ったのか知りたくて電話をしたのだが、両親に「知らない」と言われてしまった。
なんということだ。
愕然としたが、必死に祖母が祈りを捧げていたことを話し、第一話目の謎の足音事件の話をし、思い出して貰おうとした。
すると、ようやく話が通じた……と思ったのだが話は意外な方向へ進んでしまった。
「だから、誰かの誕生日に階段を昇っていく音がしたでしょ! で、おばあちゃんが『お祝いしたくて神様が降りて来てくださったんだよ』って言ったんだってば」
『あー……あぁ、思い出した! 家の中を徘徊する足音が聞こえてたから、お祓いをお願いした時ね!』
「はぃ!? そんな話は知りませんけども!? 何それ怖い!」
初耳である。
三話目に『トンネルの、怪』を綴った。
以降も、私の父について何かしら綴ったが……どうも、今回聞いた話が最初だったようだ。
簡単に説明すると、父は、霊を呼び寄せやすい体質らしい。
にも拘わらず、友人達が霊感スポットへ行く危険な趣味を持っており、断れない父は参加していた。
私が幼い時(おそらく五歳以下)だった時、父はとある霊感スポットへ行って来たようだ。
そこから、家の中を”何かが”走り回る音を皆が聴き始めたという。
つまり、父が連れてきてしまったらしい。
何かを。
私は全く記憶にない。
一度だけではなく数日続き、あまりにも酷いので、祖母が御祓いをお願いしたのだそうだ。
その後、無事に得体の知れない騒音現象は終わったという。
という事件が発生したにも関わらず、以後も父は言われるがままに友人達と興味本位で近づいてはならない場所へ足を運ぶわけだが……。
それは綴ってきた通り。
憶えていたらプチトラウマになっていただろうから、記憶に残っていなくてよかった、と安堵した。
今頃になって父に纏わる最初の怪事件を聞いてしまい、動揺した先日である。