【10歳前後向け童話風味】おたんじょうび、ありがとう!
一作目を子供向けに改稿しました。
今日は、わたしのおたんじょうび!
おたんじょうびだから、ごちそうだよ! 焼肉だって、とてもおいしそう。ホットプレートが、じゅうじゅう音を鳴らしている。ケーキもあるよ、真っ白い生クリームがたっぷりで、イチゴがたくさん乗っているよ。
ご飯、まだかな。早く食べたいな。
お母さんが「ご飯よー」と叫んだよ、わーい、やっと食べられるね。
弟たちと笑いながら椅子に座ったよ、お父さんもやってきたよ、おばあちゃんもいるよ、お母さんがご飯をよそって、お茶をくれたよ。
さあ、焼くぞ!
トントントン……。
? 今の音は、なぁに?
お父さんの、お肉を持つ手が止まった。わたしは、音が鳴ったほうを見た。
階段を上る音がしたよ?
「ねぇ、今誰が上に行ったの?」
わたしは、みんなにそうきいた。
でもね、みんなここにいるよ、他に誰も家にはいないよ。
お父さんが怖そうな顔をして、階段を上っていった。
ミシミシ、と嫌な音がしたよ。
私は、その下でお父さんを見ていたよ。
「何も居ないよ」
お父さんが戻ってきて、笑ったよ。
お父さんが言うなら、大丈夫だね。だから、わたしも笑ったよ。
焼肉を食べ始めたよ、とっても美味しいね。
食べていたら、おばあちゃんがわたしの頭を撫でてくれたよ。
「ちぃちゃんのおたんじょうびでね、とても楽しそうだったから、まざりたかったのだろうねぇ。お祝いにご先祖様が、遠いお空から来てくれたのだよ」
「ごせんぞさま?」
「そう、おばあちゃんのお母さんや、おばあちゃんだよ。ちぃちゃんが大きくなって嬉しいから、毎年会いに来てくれているよ」
そう言って、おばあちゃんは毎朝手を合わせている、天井近くにある不思議な棚を教えてくれた。
「あそこを通って来てくれたのだろうね」
そうなんだ! わたしのお祝いに来てくれたの!
ありがとう、おばあちゃんのおかあさん、おばあちゃん。
わたしは、とっても嬉しいよ!
トントントン……。
また音がしたから、わたしは手を振ったよ。
おたんじょうびって、楽しいね! 嬉しいね! なんだかとても、幸せになったよ。