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執念のたま○っち

 更新を待っていてくださった方がいたので、怖くないけれど書いてみよう。


 私には弟が二人いる。数話前に神社で怨念のネックレスの話を書いたが、今回もそちらの弟の話をしよう。

 二つ下の弟は、高校まで自転車で通っていた。JAFから届く冊子の”事故多発地点”にも掲載されていた場所で、高校一年の時に撥ねられた。自転車で横断歩道を走行し、信号無視でやってきたトラックに撥ねられた。

 当初、昏睡状態で何も状況が説明出来ない弟に対し、このトラックの運転手と助手席に同乗していた男性は『自転車が信号無視だ』と言った。しかし、通学、通勤ラッシュの時間帯で目撃者が多発しており、すぐにそれが嘘だと発覚。目撃者の方々は全員一致で『信号無視はトラック』だと警察に告げてくださった。

 救急車で運ばれ、「絶望的だとお考えください」と死の宣告を医師からされてしまったわけだが。

 実は私は一度もお見舞いに出向いていない。その日事故に遭った事も知らずに普通に、高校で授業を受けていた。

 帰宅すると祖母に事故の話を聴き、気が動転した私は急いで病院へ行こうとしたのだが、止められた。

 弟の状態が衝撃的で、私が気を失うか発狂しそうだから絶対に来るなと両親からの伝言だった。

 そういうわけで、私は一度も出向けなかった。

 さて、当時の高校生はアイフォンは勿論、携帯電話ですらなく、ポケットベル、なる化石となったモノで連絡を取り合っていた。

 当然、弟のポケットベル……ポケベルは心配した友人達からのメッセージで溢れ返っている。姉の私は、必死に一件ずつ返信した。

『こちら姉です、弟は生きていますが面会謝絶だそうです』

『あぁ、お姉さん! 状況が変わったらまた教えてください』

 このようなやり取りをし、家まで来てくれる子もいた。

 さて、弟だが。

 医師も仰天、驚きの速さで復活し、トラックに撥ねられたにも関わらず一ヶ月も経たないうちに退院することが出来た。絶望的だの、今夜が峠だの言われていたが、けろりとして家に帰ってきた。

 恐るべき強運の持ち主である。

 まあそれは素晴らしい事なのだが、流石弟だなと思った事が一点あった。

 最近も流行っていたが、当時は”第一次たま○っちブーム”だった。今考えると要らないのだが、とにかく当時は皆持ち歩いていた。

 レアキャラで”おやじっち”なる可愛くない生物がいたのだが、弟の所持していたた○ごっちが、前日そのレアキャラになったのだ。

 救急車で運ばれる際、弟は「たまごっ○、たまご○ち」と言っていたらしく、病院へ搬送されて両親が駆けつけてからも「た○ごっち、俺のたまごっ○」としきりに○まごっちを求め続けていたという。

 トラックに撥ねられた際に、弟の手元から離れてしまった、大事なたまごっ○。……いい加減伏字を使うことにも疲れてきた。

 母は、弟の願いを叶える為に事故現場へ行き、たま○っちを探し当てた。たまごっ○は、傷はあったが動いていた。奇跡である。

 たまごっ○とレアキャラが無事な事を説明すると、弟は安心して眠りについたという。そして回復へ続く。

 もし、た○ごっちが破損していたら、行方不明のままだったら。……弟は、絶望のあまり息を引き取っていたかもしれない。

 ちなみにそのた○ごっちは、私が懸命に世話しておいた。二つ面倒を見るのは非常に大変なことであった、姉は頑張った。

 何はともあれ、無事でよかった一件だ。……笑い話にしかならないが。

 

 皆さんも、事故には気をつけてください。

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