故障ではないらしい廊下の電気
夜ですが更新しました。
仕事中に更新が無理な状態に陥ったため、夜だが更新しておこう。
もう直ぐ盆である。
地方によって日付が前後する場合もあるが、祖先の霊を祀る一連の行事だ。
8月4日、実家に帰宅した私は家族と夕食を共にしていた。
「あぁ、また電気がついた。お盆が近いからなぁ」
「もう、やめてよお父さん」
という、両親の会話。
実家は人が通ると勝手に電気がつく場所が三箇所ある。
一つ目は、駐車場前。二つ目は、玄関へ行くまでの道(主に庭を照らす)。三つ目は、玄関から入ってすぐの廊下。
駐車場前と、玄関へ行くまでの道は猫が通過しても点灯するので頻繁に明々と照らされる。問題は玄関から入ってすぐの廊下だ。
私がそっと様子を窺うと、確かに人が通過しないと点灯しない筈の電気が点いている。
「最近多いんだよ」
と、父が言うので「壊れているんじゃないの?」と言っておいた。
「まぁ、猫が通ったり郵便物が届いたりしたのかもな」
「でも、それだと点灯しないんですよ、あれ」
と、両親の会話。立証しなくても良いのに、食事も途中で二人は玄関へと向かった。私は静かに味噌汁を啜る。
庭から玄関へとまわった父は、玄関の前で無意味に身体を動かした。
廊下の電気は反応しない、つまり、玄関をくぐって家に入らないと点灯しないのだ。
また、玄関には左側に郵便受けがあるのだが、それは直に家に入るようになっている。父は郵便受けから持っていた新聞を突っ込んでみた、それでも電気は反応しない。
「うん、駄目だな」
父は玄関の網戸を開けて、家に入った。途端電気が明々と点灯する。
さて、食事を再開した私と両親二人は黙々と食べた。
今、家に何かがいるのかもしれない。先程玄関から廊下を通って”何か”が来た筈だ。
しかし、私は怖くなかった。第一話に”ご先祖様か、神様か、はてさて”という話を書いたがそれと同じ感覚だ。
私も父も、鳥肌が立っていない。それはつまり、電気が故障していなかったとしても、今家に来た霊? は嫌なものではない……と思う。
祖母だろうか、祖父だろうか、それとももっと前のご先祖さまだろうか。いや、うさぎ達かもしれない。
ともかく、私は普通に食事を済ませて帰宅する際に玄関廊下を振り返った。……大丈夫だ、お帰りなさいませ。
お読み戴きありがとうございました、ネタはあるのでまた更新します。
宣伝になりますが、夏のホラー2013に”白い風船”というものを投稿しました。
http://ncode.syosetu.com/n9310bs/
よろしければこちらもどうぞ。童話っぽいホラーを目指しました(^-^)