プロローグ
ー蓮sideー
「おぉーーい、蓮!」
蓮が大学から出ようとすると後ろから声を掛けられた。
「蓮、これから遊ばないか?」
「ごめん良。これから父さんのところに行かないといけないんだ。」
「今日何かあるのか?」
「新型ガーディアン(人型機動兵器)の機動テストだよ。」
「親父さん、ガーディアンの開発主任だっけ?すげぇよな。蓮も手伝ってんのか?」
「いや、アイディアを出す程度だよ。機動テストは工学の勉強になるから見とけってさ。」
「そうなのか。じゃまたな。」
「またね。」
蓮は良と別れるとガーディアン工場へ向かった。
ー工場内ー
工場内の応接室に2人の若い女性と若い男性、30代の男性、中年の男性の5人がいた。
「初めまして。この度は新型鑑の造鑑依頼を受けていただき有り難う御座います。艦の受け取りに参りました、フレア・リンスレット大佐です。彼はガーディアン隊の指揮を取るグレイ・アッシュ中佐でその部下のマリア・クロス少尉とリック・ロビー准尉です。」
「初めまして、私はここの開発主任をしていますエイジ・カミシロです。早速ですが戦艦ダリアへ案内しましょう。」
「よろしくお願いします。」
「それにしても貴方は、ずいぶんと若く、美しい方ですね。ガーディアンのパイロットの方達もお若い。」
「有り難う御座います。」
「貴方のような若さで大佐とは、ご苦労なさったでしょう。」
「まぁいろいろありましたから。」
「そうですか。おっ、着きましたね。」
「この先にあるのが、新型鑑ダリアです。」
そう言って扉を開けるエイジ。
「これが。」
「はい。新型鑑ダリアです。大きさは中型鑑クラスと、大型鑑クラスの間程度ですが大型戦艦用EECエンジンを4機搭載、正面に主砲の大型プラズマキャノン砲を2門と側面前方に半球上に発射可能なフォトン砲を2門づつ計4門、側面後方に8X2のミサイル発射口を上下と側面部の3カ所計6ヶ所配置、対空機関砲も設置済みです。更に私共の新技術、ディストラクションシールドによってビーム兵器を3割、実弾兵器を7割のダメージカットに成功しました。」
「それは素晴らしいですね。」
「有り難う御座います。」
「ガーディアンの方はどうなっていますか。」
「現在3機の量産型ガーディアン・クラヴァートが配置してあります。お話では後1機はクラヴァでしたので明日の受け渡しには間に合います。」
「わかりました。後1機もよろしくお願いします。」
「かしこまりました。こちらがダリアの基本性能と操縦マニュアル、整備マニュアルになります。」
そう言ってエイジはフレアにUSBを渡す。
「確かに受け取りました。」
「では鑑は明日お渡しします。」
「はい。本日はこれで失礼します。」
「大佐ちょっと待って下さい。」
フレアが帰ろうとするとマリアが引き止めた。
「どうしました?マリア少尉。」
「エイジさん。」
「何でしょう、マリア少尉?」
「ダリアの奥にあるガーディアンは何ですか?」
「ダリアの奥?」
「はい、大佐。ダリアの奥に布が掛けられていますがあれは恐らくガーディアンです。」
「よくおわかりになりましたな。確かにあれはガーディアンです。」
「見てもよろしいでしょうか?」
フレアが怪しむ様に聞く。
「いいですよ。これは息子が作った物なんですが。」
エイジが布を取ると其処には蒼と白を基調としたガーディアンと紅を基調としたガーディアンがあった。
「綺麗・・・」
感嘆の声を上げるマリア
「蒼は高機動型ガーディアン・ヴァーグ、紅は高出力型ガーディアン・ソルシエールです。」
「これを息子さんが?」
「組んだのはここですが、基本設計から武装についてまで、全部息子の考えですよ。私の見立てではクラヴァを遥かに上回る性能を持っていますよ。」
「クラヴァを遥かに上回る性能ですか?」
「ええ。」
「信じられません。現在クラヴァはUG軍では最高性能ですよ。それを遥かに上回るなんて・・・」
フレアが困惑していると蓮がやってきた。
「父さん機動テストの準備出来てる?っと此方の方々は?」
「UG軍の方々だ。ダリアの受け渡しが明日だから、説明するのに来て頂いたんだ。」
「そうなんだ。初めまして、レン・カミシロです。」
「フレア・リンスレット大佐よ。こっちはグレイ・アッシュ中佐とリック・ロビー准尉、それに・・・」
「マリア・クロス少尉です。このガーディアンは貴方が設計したって本当ですか?」
マリアの顔がレンに迫り、レンは、慌てながら答える。
「う、うん。そ、そうです。」
「そうなんだ。」
「か、顔近いですって。」
「あっ、ごめん。」
「少尉?」
「すみません大佐、つい。」
「良かったら機動テスト見ていきますか?」
「そうですね・・・(本当にクラヴァの性能を上回るなら気になりますね・・・)よろしければみせていただけないかしら?」
レンの申し出にフレアは考え込み、答えを出した。
「じゃ父さん、機動テストを始めよう。」