プロローグ
「愛斗遅いぞ、みんな待ちくたびれたてるぞ」
「そんなことをいわれても、俺が相手してる奴等はお前が相手してる高校生とは違ってまってくれないんだからしかたがない」
「わかったわかった。とりあえず早く入れよ」
今日は大学時代の寮の部屋員が卒業してから初めて集まる部屋会だ。まあ、簡単に言えば同窓会というえあけだ。卒業してから早4年がたった。寮とは、私の通った大学は1年次は全寮制であり、医学部と体育学部の学生が共同生活をするのだ。遅くなったが愛斗こと私は、医学部を卒業して4年目の内科医である。本名は小鳥遊愛斗だ。わかっているとは思うが小鳥遊と書いて、「タカナシ」と読む。卒業後は、地元である千葉の常総病院に勤務している。常総病院は病床数160の地域の基幹病院である。
「愛斗遅すぎるぞ。遅れたからにはなんかやってもらわないとな。じゃあこれ持って。」
私が糖尿病のくせに夜隠れてお菓子を食べてしまう問題患者からシュークリームを取り上げている間から、酒を飲んでいた元部屋員たちはもうすでに出来上がってしまっているらしい。そして、手渡されたのは、1・5リットルのコカコーラである。
「あれれ、愛斗何持ってんの?」
無理やり持たせておきながら何を言い出すやらという状態だ。
「何持ってんの?何持ってんの?飲みたいか~ら持ってんの!!」
懐かしいコール宴会会場にこだまする。
「はい!飲んで~飲んで、揉んで揉んで~、あふれ出すこの気持ち●●●●」
このしょうもないコールは誰が考えたのだろうか?体育学部の学生であることはほぼ間違いないと思うのだが・・・・
結局、昨日の当直から着替えていない汗臭い洋服を甘い臭いに染めコーラを1・5リットル一気飲みさせられた私。
この一気飲みは寮ではお決まりのイベントだった。これが酒の一気飲みでないことがまだ救いではある。
医学部の学生が、急性アルコール中毒で救急搬送されていてはしょうがない。また、仮にも渡井のファイ学派健康総合大学を名乗っていたからなおさらである。