3.カマ、スカウトされる。
アタシとユーリスは飲み屋街に消えていった。
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フォルマ国の夜は以外にも静かだった。
「ねぇ、ユーリス、フォルマ国はいつもこんな感じなの?」
「いえ、数年前はもっと活気に満ち溢れていたんですけれど…今の先代の王が先立たれ第一王子であった、現在の王が玉座についてからというもの国民への税収が多くなり、国民の活力は徐々に落ちていったのだ。」
(...しけた王様のせいで経済が回ってないのね。)
しばらく歩いてると柔らかなで光で
店が照らされていた。
「ナツメ、つきました。俺のオススメです。」
そこにはバーHOLICとかかれていた。
チリリン
「グレイ、いるか?」
グレイと呼ぶ人物はマスターなんだろう。
出てきたのは小柄な女の子だった。
「おっ!ユーリス!久しぶりじゃないか〜。お前が誰かを連れてくるなんて珍しいじゃないか!」
小柄女の子はこちらをじーっと見てくる。
「お前さん、転生者か?」
その一言目に驚いた。
「なんでわかったの!?」
「そりゃ分かるよ〜、その奇抜な装いに装飾。この国で転生者がくることは珍しいことではないし、この国では見たことない。」
女の子はドヤった顔で言ってきた。
それにしても...
「ねえ、アンタいくつなの?親は?
子供がこんな時間に店番とか、たいへんなのねえ」
グレイは顔を真っ赤にさせながら
「わたしは!大人だ!」と叫んだ。
キョトンとしていると
ユーリスが
「グレイは小人族なので見た目は子供たが、ああ見えて250歳なんだ。」
「250!?」
店内に大きな声が響いた。
「そうだ、この中だと私が1番年上だ!」
ものすごい顔でドヤるグレイ。
(あ〜、すぐ調子に乗るタイプだわ...)
「ねえ、グレイ.....さん?今日は特別にお客さんが少ない日なの?」
店内は私達以外は誰も見当たらない。
というか、店はホコリも多くてところどころに蜘蛛の巣も...。
グレイはにっこり笑いながら
「いや、一週間ほど客は来てないぞ!」と言った。
.....えっ?
「いっ...一週間...?」
「そうだ、まぁ来るのも馴染みやつしか来ないからな、最近の若いのでいえばそこのユーリスくらいだ。」
ユーリスはさっさととカウンターに座った。
「まぁ、俺は父親の馴染みだから潰れてほしくないから...」
とぼそっと言った。
なるほどねぇ、ユーリスは見たところ私と同じ年齢くらいの普通の人間ってところかしら?
「ねえ、ユーリス?アンタは普通の人間なの?」
「はい、俺は人族です。この街で暮らしているのは主に人族、エルフですね。後は亜人がちらほら」
「結構、色んな種族がいるのね。」
「まぁ、国としてはそこそこだからな。ナツメのいる世界は違うのか?」
「ん〜でも人族か、動物とその他って感じだわ。でも人の括りがややこしいのよね。アタシはゲイって括りなの。性別は男だけど男が好きなのよ♡ちなみにタイプは目のくりくりした年下の男よ〜。」
グレイは興味深々にして聞いてきた。
「ほう、そのゲイっていうのはみんなお前さんのような喋り方なのか?」
「ゲイの中でもね、女みたいな立ち振る舞いや喋り方をするのをオネエとかオカマって言うの。つまりアタシはオカマよ!」というとグレイは目をキラキラさせながら拍手していた。
「異世界転生者を何回か見てきたが、お前さんみたいなら面白いのは初めてみたぞ!どうだナツメ!ここで働かないか?」
勇者もクビになったし、というか勝手に追い払われたし、行くとこもすることもないからね。
アタシは迷うことはなかった。
「OK!いいわよ!でもやるからには徹底的にやらせてもらうわよ!」