4 買い出しは町にて Part2
こんにちは〜Part2です
「旅人の店……?」
「じゃないな。なんだこの店は」
「1か月前にここを通った時には、まだ旅人の店だったよね?」
「だな。なのに1ヶ月で変わったりするか?店だけでなく、住居も兼ねていたのに……」
「にしても、突然だね〜。この町には動きやすい既製品の服売ってるのここしかなかったのに……」
「あとは、オーダーメイドばっかだからな。平民は布を買って作ることが多しな。」
「潰れちゃったのか、引っ越しちゃったのか。なんにせよ残念だ〜。良い店主だったのに。」
「……」
「にしても、この店なんなんだ?やけに古い」
「ん??確かに。古いね…」
その店の風貌は、妙に古かった。1ヶ月前見た時にここはまだ、旅人の店であった。
旅人の店は1階部分を店、2階部分を家として使っている二階建ての建物であった。親子代々引き継いでいた店であるため、それなりに古い建物であった。その建物を使っているのなら古いのも理解はできる。だが、建物の構造的に、旅人の店の時のものとは全く違うものであり、新しく建てなければこの形の建物は作ることは出来ないだろう。それなのにも関わらず、見た目が明らかに古い。
イスキローテは嫌な予感がしたが、その予感は感じ取らなかったことした。
せっかく作った平和が崩れる気がしたから。
「わざと?いや何のためにだ?」
「不思議だね。しかも相当お金持ちみたいだし…お金に物言わせて、ここの土地を奪ったのかな??やってんね〜」
「……なんで金持ちだって分かるんだ?」
「え??あ〜、だって、魔法の匂いがするから」
「……は!?」
「だ、か、ら、魔法の匂いがするの!魔法で簡単な建物を作るのはできる。けど、この構造は相当な技術が必要だよ。魔力もね。そんな魔法が使えるのは位が高い魔女と……。」
「魔鬼だけ。」
「まぁ、位が高い魔女に建築を依頼できるほどのお金持ちの確率の方が高い!窓から見えるものも高級そうなものばっかだし!」
「ああ……」
「はぁ、じゃあ、どうする〜?首、突っ込んでみる?」
「……嫌、と言いたい」
「ね!私も嫌!!」
「辺境伯にぶん投げるか。」
「そうだね〜こういうのの調査が得意なのは向こうの方だもんね!」
「そうと決まれば、買い出しを終わらせよう」
「りょうかーい!」
「じゃあ!今度こそ服のために布を買いに行こうー!」
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「いらっしゃいませー!」
「あら!久しぶりだね〜!2人とも」
「こんにちは〜」
「旅人の店が閉まってたので」
「あ…そうだろうね……」
「…どんな服を作るんだい?布選び手伝うよ!」
このおばさんは旅人の店の店主と仲が良かった。
グラナージは感じた。おばさんは旅人の店について何かしら知っている。そして、それはきっと不都合な事実であると。
ただ、イスキローテ同様、気付かないふりをした。
もう、巻き込まれたくなかったから。あんな思いはもうしたくなかったから。
「え〜とね!まずは〜靴下!」
「……服か?それは」
「え!?靴下って服のうちに入らないの?」
「難しい問題だね?あたしもよく分からないよ。確かに服かと言われれば違う気もするし、かといって、下着でもないだろうし、」
「うわ〜どっちだろう??」
「……別にどっちでもいいだろ」
「え!?グラが言い出したことだよ!」
「悪い悪い。なんか引っかかってさ。」
「ハハッ!相変わらずだね、2人とも」
「それで?靴下の他には?」
「ズボンだな。できるだけ頑丈に作りたい」
「だね〜。まもっ」
イスキローテの口を素早く塞ぐグラナージ。
グラナージはあの一瞬でイスキローテが、「魔物と戦う」という一般人の所業としてありえないことを言おうとしているも察したのである。
さすがの速さである。
(バカか!)
(ごめん。つい)
目線で会話できるのもさすがの仲である。
「家の修繕をしていたら破れてしまって」
「そうなのかい!それはご苦労様!にしても、魔女さんだったのかい!教えてくれてもいいじゃないか〜」
「……え!?」
「だってそうだろ?家の修繕は魔女さんの仕事なのだから。」
「え!?あ、いや、違くて。戸棚とかのっていう意味で!!」
「あ〜そういうことかい。」
(え!?私にそんな仕事滅多に来なかったよ!?みんな、トンカチで直してたよ!?私の現役時代はーー!!)
(俺も今まで聞いたことがない。マズイな。俺たちの常識がいつの間にか非常識に変化してる可能性がある。)
この時代の魔女の役割は大きくわけて3つ。
1つは前述通りの、建物の建築、修繕。
2つ目は薬の作成。
3つ目は魔物の討伐への協力。
イスキローテが現役時代は争いが絶えず起こり続けていたため、建物建築なんてことはする必要がほぼないし修繕する必要も無い。どうせ壊れるからだ。そんなものに魔力を使うよりも、戦うことが優先されたために必然的に1の仕事は無くなった。
2はイスキローテも行っていたが、魔力が多すぎるためにその調節に手間取り、あまり得意ではなかった。
3つ目は今現在の穏やかの情勢ではあまり必要のないことであるため、1部の極めて優秀な魔女のみが交代でその任を担当している。
あの頃は魔女の数が少なかった。適正が無い者(検査を受けない者もいた)が多かったのに加えて、戦いで散っていった者、逃げだした者、魔女になることが出来ない、魔女をしたくないという者があまりにも多すぎたからである。
しかし今は、最古の魔女でありこの国を守ったイスキローテへの憧れ、脅威の少なさにより、志願者が増えたのだ。
母体数が増えれば、おのずと適正者も増えてくるのは当たり前だある。戦死もしない。
その結果、魔女が増えすぎた。
なので、平和な今必要な建築修繕という仕事が全て魔女にあてがわれるようになったのである。
ただ、イスキローテもグラナージも魔境に住み始めてから今までこの町には何度も来ていたが、全くもってその事実を知らなかったのである。
知らなかったというより、知ろうとしなかったという方が正しいが。
「あとね!楽なワンピースが欲しいんだ!」
「あーそう言えば言ってたな」
「あら、じゃあ可愛い生地を選ばなきゃね!」
「それじゃあ、靴下とズボン、それからワンピースを作る生地でいいかい?」
「うん!靴下は6くらい作れたら嬉しいかも」
「だな、ズボンは2あればいいか」
「了解!そしたらいくつか候補を持ってくるからちょっとそこに座って待っといてね」
「助かる。」
「ありがと〜!」
読んでくれてありがとうございました〜!
あの、ひとつ聞きたいんですけど。
「」を連続でよく書いてるんですけど、誰の台詞か区別つきますか?
イスキローテとグラナージの言葉って口調しか変わってないので、分かりづらいかもと思って……
教えて頂けたら嬉しいです