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3 買い出しは町にて

マズイです。

このままではグダグダの会話が一生続く気が……


3 買い出しは町にて

イスキローテとグラナージは魔境の近くにある町に買い出しに出かけていた。



町に入るには身分証の提示が必須である。



「毎回、辺境伯に会わなきゃいけないのめんどくさい」


「まぁ、しょうがないだろ。通るために必要な身分証という身分証がないんだから」


「…あーあ。長生きするもんじゃないな〜」


「…それはそうだな。」




この2人は長生きだった。

だが、普通は300年以上生きる者などいないのだから、誕生時に貰う身分証を見せたところで偽装だと思われるのがオチである。

そのため、辺境伯の紋章を使い、町に入る。

辺境伯は代々この2人の世話……いやなんと言えばいいのだろうか……とりあえずこの2人の正体を知っており、その生活をサポートしている。

なぜ辺境伯なのかは、魔境が近いというのが一番の理由だろうが、皇帝の思惑も入ってたりもする。

辺境伯の紋章を使うと、辺境伯からの招待客という扱いになるため、町に行く前に会わなければいけないのだ。




*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*



「1ヶ月ぶりですな。英雄様、最古の魔女様」


「そうだな」

「久しぶり〜」


「最近はどうですか?お困り事などは?」


「別に普通だ。特に困り事もない。」

「強いて言えば、町に来る度にいちいち君に会わなきゃいけないことかな〜?」


「それはそれは。申し訳ない。しかし、どうにも出来ないのですよ。こちらとしても。」


「そうだろねー、言ってみただけだよ。そっちはどう?」


「ぼちぼちですな。魔物もお二人のおかげで、あまり外には出てきませんし、出てきたとしても対処できる範囲ですからな。」

「ただ、少し気になることが。」


「あ〜聞かなきゃ良かったかも?」

「面倒事の予感だ」


気になること、と言って切り出す話は大抵面倒事だということを300年も生きていたら察しがつく。いや、300年も生きてなくても分かる。

面倒事である。


「最近、魔境の外に出てくる魔物の種類が変わってきましてね。前は比較的足の遅い大型だったのですが。最近はその真逆でして。」


「……ん?なんで〜?」

「俺に聞くな。」


「強さは前の種と変わらないのですが、今までにない事でしたので少し危惧しているのですよ」


「それは、俺らにも分からない。俺らの住んでる奥地ではなんの変化もない。まぁ結界を張ってるから気づかないだけかもしれないが。」

「魔物は分からないことが多いからね〜。進化?って訳でもなさそうだし…ほっておいてもいいんじゃない?」


魔物進化、例がない訳では無いが遅い足が早くなるなどの大幅な進化は前例がないため全くの別種だと考えて良いだろう。

魔物同士も縄張りをかけて争うことがある。その争いにより、淘汰され、入れ替わったとしても不思議では無い。


「なら、良いのですが。」


「俺らの方でも少し調べてみる」

「そうだね〜。また前みたいなことになったらそっちの方がめんどくさいし。」


異変を異変だと捉えなかったために被害が拡大した過去があるため、少しの異変も調査をしないわけにはいかない。



「ありがとうございます。長々と引き止めてしまい申し訳ありません。こちら、今月分の資金です。お受け取りください。どうぞ、行ってらっしゃいませ。」


「ありがとう。じゃーね〜」

「助かる。また、来月。」



資金というのは生活費のこと。 辺境伯からではなく、王家から支払われている。

簡単に言うと防衛費である。プリムス結界はイスキローテがいるからその効果を保つことができているため、なんとしてでもイスキローテをこの地に留めておく必要がある。英雄であるグラナージも同様である。

そのために国がとった行動が、生活費というお金を渡すことでこの場にいてもらう、いわゆる買収である。

そうまでして、引き留めたい程の力を持つのが彼らである。




*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*




ここの町は、魔境に近いということもあり、普通の町には無い魔物由来のものも売っているのが特徴である。


「何が必要かリストアップしてきたか?」

「うん」

「んじゃ、買いまくりますか!」

「行こー!!」




*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*



2人は食に関するものをから買い始めた。


「野菜〜」

「あそこじゃ育たんからな」

「どういうのがいいんだっけ?」

「こういうのじゃないか?」

「あーそっか、花が咲く直前のが美味しいんだよね」




「卵〜」

「とりあえず20だな」

「ありすぎてもだからね〜、鶏的な魔物いたら楽なのにな〜」

「ちょっと嫌だろ、魔物の卵は」

「それもそうだね」



「調味料〜」

「塩、胡椒はまだあるから、砂糖だな」

「あ!何あれ!!」

「あ、おい待て!!!」



「おおー!!なんか光ってる〜。これなに〜?」


「ん?ああーこれか。これはな果ての国の調味料で料理にかけると何でも上手くなるんだよ。まぁさすがに限度はあるがね」


「へ〜!!おもしろーい!」

「なんだ?買わんぞ。」

「…ケチ。」

「おい。」


「ハハハ!これ食べてみるか?ルクロにその調味料かけたのだ。」


ルクロというのはすごい苦い野菜である。ほとんどの子供は嫌いで、大人も苦手な者が多い。食べられる人は人では無いと言い出す人もいるくらいには苦い。とっても苦い。



「え…ルクロ嫌い。」

「俺も好きではないな」


「試してみな!」


「んーーー。…………………物は試しだ!」


パクッ


「どうだ?うまいだろ?」


「……もう1個食べたい。というか、これ本当にルクロ??」


「アハハ!本当にルクロだよ!気に入って貰えて何よりだが、ひとり一個までだ!」


「え〜!!ケチ。」

「美味かったのかよ」

「うん!苦さが良い感じのアクセントに変わってる!」

「マジか…」


「おっちゃん。その調味料1瓶と砂糖を3瓶買うわ」


「お!毎度あり!」






「次はどこに行く?」

「あ、服必要かもって思ったんだよね」

「……さすがに必要かもな。」

「だよね〜」

「旅人の店を覗くか」

「うん!無かったら布買いに行こ」

「そうだな」




次は服を買いにいくらしい。


読んでくれてありがとうございました!



メモ

✻*˸ꕤ*˸*⋆。⇒物語もしくは過去の話の区切り。

*-*-*-*-*-*⇒場面転換。

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