28 最終戦闘は早急に城内にて
「(こんな魔法まで使えるとは)。」
「え……?」
「まぁ前の僕だったら死んでたね。」
「でも今は。」
魔鬼は静かに窓の方を指さした。
「嘘、結界を張ってたのに!」
「辺境伯領で学ばなかったの?君の結界は僕の前では意味が無い。知らない結界が出てきた時はびっくりしたけど、案外簡単に壊せたね〜。」
「……そんな。」
イスキローテは地面に崩れ落ちる。
「あれ〜?大丈夫??ハハッ。所詮は長く生きてるだけの魔女。魔力量を増やせる僕とは訳が違う。」
「……。」
「じゃあーね。楽しくはなかったけど、上手く操られてくれてありがとう!」
「ナ・カタストレプセ」
巨大な魔法陣がイスキローテの頭上に出現する。
眩しい光、いや光と言えるのだろうか。
周りを黒く染めていくそんな光。
形容が難しいその色彩に辺りが包まれていく。
だが、魔鬼は気づいていなかった。
絶望しているはずのイスキローテの口元がにんまりとしていることに。
そして、結界が張られた時点で既に敗北していたことに。
「…………フフッ、なーんてね」
「何?」
「案外、上手くいくもんなんだね〜」
「……は?」
「私のほうが頭良かったみたいだね〜」
「アファイレステ・プセダイウス」
「幻影 解除魔法?」
「そう!よくわかったね〜。外、見てみなよ。全てを滅ぼそうとしたみたいだけど、結界はまだ作用してる。残念だったね〜」
「なんで、結界が破れてないんだ。」
「単純な話、決壊が二重いや、三重構造だっただけだよ。」
「ふふっ!!良かった〜。一世一代の大芝居!上手くいったみたいで〜!!」
「いやー!私だって伊達に長生きしてるわけじゃないんだよ。その間に色々経験して成長していたんだ。演技もその一環!すんごいキツかったけど、役に立ったようで良かった!!」
「は?なんで俺、僕、が消滅し、てい、る?、?」
「三重だって言ったじゃない。まだ時間があるし説明してあげようか??まぁ、聞いたところでどうにもならないけど。」
「おか、しい、違う、ちが、う、こんな、のち、が、う」
「何も違わないよ。君は結界の構造を見抜けなかっただけだよ。そして、三重目にかけられた反射の結界を見逃しただけ。」
「は、ん、しゃ??魔法、は反射、のたい、しょうでは、ない、はずだ。」
「それ、何年前の話??あ〜!!引きこもってたから知らないのか!時代はね!進化するんだよ〜。」
(どこから間違えた?こいつを殺し損ねたところか?いやそもそもこいつはなぜ生きている。殺したはずだ。確実に。何故だなぜここにいる???ダメだ考えがまとまらない。あ゛ーあ゛ーーーー!!!!)
「イス、ギ、ローデェェエエ工ー!!!」
断末魔と共に魔鬼は空気へと変わった。
彼が最後にはなった魔法。
それは対象をこの世から消す魔法。
この魔法はコントロールが難しいため、イスキローテだけに絞ることが出来なかった。そのため城という巨大な構造物に対して発動した。
しかし、それにより反射の結界が作動。
術者本人に返ったというわけだ。
「おわった。か。」
イスキローテは退廃した城で一人佇む。
その顔に魔鬼を倒したことによる喜びの表情はなかった。
「さぁ。最後の仕事をしに行こうかな。」




