26 イスキローテが去ったあの場所にて
話が広がっていってしまう。。。
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「嵐のようですね。」
「いつもの事だけどな。」
英雄と魔女の救国物語という絵本の中の人物。
本当に居たのかも分からない。
だが、誰もが1度は憧れる存在。
最古の魔女イスキローテ。
さっきまでその魔女が目の前にいた。
そして、彼女がこの惨劇に一筋、いや一筋所ではない希望を残してくれた。
人々は歓喜した。
「うおーーーーー!!!」
「神はいたんだ!」
「ほら!お母さん言ったでしょ?最古の魔女様は生きてるって!」
「もっと早く来てくれれば、兄さんは助かったのに!!」
「良かった、これでもう安心ね!」
「おおー、神よ!!」
人々が口々と騒ぐ視線の先に広がるのは、先程まで、あんなに恐れ、何も出来ずにいた魔物が、何も出来ずにただ倒れていく光景だった。
その光景は、あまりにも非現実的で、思わず畏怖を感じ何故だか分からないが、笑いが込み上げてくる。
絶対にそんな場面では無いことは分かってはいるが、何故か。
笑えてくる。
「辺境伯様一体どうされたのですか?」
「いや、分からない。分からないが、何故か笑えてくるんだ。この光景があまりにも……」
残酷。いや、そう言っていいのだろうか。
目の前でさっきまで苦戦していた相手が死んでいく。
イスキローテとの力量の差を思い知らされて、畏怖で笑うのか。
魔物へのざまぁみろという気持ちからなのか。
はたまた、自分の弱さに対しての哀れさからなのか。
一体どれだろうか。いや、どれでもないのかもしれない。
どれでもあるのかもしれない。
感情がぐちゃぐちゃだ。
そう考えて、ふと目をやる。
「なんだ、お前も笑ってるじゃないか。」
問いかけてきた相手も、自分と同じ顔をしていた。
「あ、ほんとですね。なんででしょう。何故かこの光景が滑稽に思えてしまって。」
「滑稽か。」
滑稽。確かに滑稽なのかもしれない。
分からないが、
「とりあえず、いまのうちにあの魔物共の始末の仕方を考えよう。」
「え?もう大丈夫なんじゃ。」
「イスキローテ様が言っていた。まき?だったか?それが結界を無効化したと。最古の魔女の結界を無効化できるのは相当な手練だ。そして、それほどの存在であれば」
「……また、破る可能性があると。」
「あぁ。早急に対応せねば。」
「承知しました。指揮官及び、魔女を集めます。」
「あと、避難も今のうちに完了させておけ。第1は消耗が激しい、第2に命じておけ。」
「承知しました。早急に取り掛かります。」
「頼んだ。」
「(イスキローテ様はここを去る時に、お前らなら大丈夫と言った。その期待には答えないとな。なんとしてでも。)」
こう見えてもこの辺境伯も、幼い頃イスキローテに憧れていた。憧れの人にそんなことを言われてしまっては張り切らないはずがない。
絶対に守り抜くと、心に誓い、作戦会議へと向かう
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「この瓶に入ってるのって。」
「うん、本でしか見た事なかったけれど。」
「「「「魔力増幅、強化剤」」」」
「本当に実在してるなんて」
「たしか、製法は禁書に書いてあるとかなんとか。」
「なんだっけ?白い花?使うとか聞いたことあるかも」
「え?それ、嘘だってことになってなかった〜?」
「まぁ何にせよ、辺境伯様に最古の魔女様が託されたのであれば」
「飲むしかないな。」
「そうね。」
「これ以上状況が酷くなるわけもないだろうし。」
「よっしゃ。飲むか!!」
その場にいた魔女たちは全員その小瓶の中身を飲み干した。
「ってか、瓶の数がピッタリ。私たちの人数どうやって知ったんだろう」
「え?」
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むかしむかし、それはそれはとても強い魔女がいました。
その魔女は他の魔女とは違い、魔法を使う根源となる魔力を増幅させることが出来ました。
本来は魔力を増やすことなど不可能でした。しかしその魔女はそれが可能でした。その力は絶大で、多くの権力者や金持ちはその力を欲しました。
その魔女はとても優しかったので、欲しがるものには見返りも求めずに、魔力を与え続けていました。
それだけで終わればよかったのですが、人間の欲は募るばかりでした。
最終的に、欲に溺れた人間たちはその魔女を自分だけのものにしようと争い始めました。
しかし、その魔女は誰にも知られていませんでしたが、もうひとつすごい力を持っていました。それは、予知夢を見る力です。
その力で魔女は見てしまいました。自分を巡って争いが起き、殺戮が繰り返される、その未来を。回避するために、その魔女は、怪物の住んでいる森の奥に閉じこもりました。
やがて、その魔女のことは忘れられていき、その魔女が隠れた森は立ち入り禁止区域となり誰も近づかなくなりました。
これはハッピーエンドとはきっと言えません。
でも、バッドエンドでもないはずです。
良いか悪いか分からない、終わり、これが現実です。
そう、多くの人の物語はきっとハッピーともバッドとも言えないエンドを迎えます。
あなたの物語の結末は、果たしてハッピーで終われるでしょうか?
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「いや、これ、絵本の内容としては重すぎるでしょ。」
「だな。しかも、字ズラと絵が何1つ噛み合っていない」
「ね、すごいメルヘン。武器、飴だし。」
「誰が作ったんだろう。」
「なんにせよ、これを子供に見せるのはね。」
「うん。ちょっと現実を見せるには早すぎるかな〜。他の絵本探そ〜」
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「まさかね。」
「え?何が?」
「あ、いや、昔読んだ絵本の主人公のこと思い出したんだよ。」
「あー、英雄と魔女の救国物語のことか?」
「ううん。最強の魔女の旅路っていう、絵本としては内容が重すぎるやつ。」
「読んだことないかも」
「そっか。ま、今はそんな話してる暇はない。」
「そだね。あの魔法陣が消えてもなんとか耐えられるように今のうちに結界とか作ろう」
そう、2人が決意をした時。
「ねぇー何話してんのー?」
「「え?」」
「こっちで会議するんでしょー??」
「「あ、、」」
他の人より少しだけ真実に近づいた2人の魔女は仲間の声のする方へ駆け寄って行った。
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