20 真実は過去の追体験にて(グラナージ編)
『……。ローテ達はどこだ?』
『ちょっと旅に出て貰ったんだ〜。グラも一緒に飛ばそうと思ったんだけど、その前に話しておきたくてさ〜。』
『……はぁ。無事なんだな?』
『もちろん〜。はい!』
魔鬼はグラナージに1枚の絵姿を見せる
『……これはなんだ?やけに俺に似ているが、俺では無い。』
『……え?本当に分からないの?やっぱり駄目だったのか。まぁ、最初っからわかってたことではあるけど。』
『は?』
『これはね、君だよ。人間の頃のグラナージ。』
『は?』
『まぁ、言っても理解なんてできるわけもないし。見てもらった方が手っ取り早いか〜』
『俺も飛ばすのか。』
『そうだね〜。もう話したいことは終わったし〜。』
『……。』
『君がこれから見る視点の持ち主は、過去のグラナージだよ。人間として生きていた頃のね。』
『それじゃあ。行ってらっしゃい〜。』
『……。』
グラナージは暗闇に飲み込まれていった。
恐ろしいという感覚はなかった。
何故か。
懐かしい気配を感じた。
『(案外、魔鬼の言っていることは本当なのかもしれないな。)』
*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-
部屋の中。ベッドに寝っ転がっていた。
今の時点だと天井しか見ることはできないが、なんとなくグラナージは思った。
『これが、魔鬼の言う過去の 俺 か。』
『……。なんだか、馬鹿そうだな。』
随分酷い言い草である。自分のことなのに。
「クッソッッ。なんでだよ。なんで俺にはオヤジみたいに魔力がないんだ。剣だけなら、誰にも負けないのに。弟は魔女だから剣がそこそこしか扱えないのに。魔力があるから。俺はいっつもあいつに負ける。魔力のせいで。魔力のせいで負ける。」
『……。魔力のことで悩んでいるのか。確かに魔力で得られるものは大きいが、』
「魔力がないのはなんでだ?なんで?」
『……魔力ね。』
「魔物は当たり前のように持っているのに。……そうだ。」
「(魔物に勝てることができれば弟にだって勝てるはずだ、練習として魔境に行こう。そうすれば、絶対強くなれる。」
『方法を間違えたのか。』
*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*
目の前には見知った風景。
『準備はしっかりしてるな。前よりも強くなっている気がする。』
「書き置きはしてきたし、あと三日ぐらいは大丈夫なはず。その三日でこれを成し遂げられれば、強くなれる。」
『やることリスト。馬鹿ではなかったみたいだな。』
「よし。いくか。」
魔境へと足を進めた次の瞬間。
矢が飛んでくる。
「ハッ!?」
それを避け、放たれた方向を見る。
明らかに魔物では無い。
魔物は武器を使わない。
使うのは、人間。
「クッソッ!!(もしかして、魔境というのは仮の姿か?)」
一瞬での状況把握及び考察を完了させる。
『察しがいいな。父親が相当な手練の様だったし、そういう知識を教えられていても不思議はないか。』
「(来た道はこれの仲間が潜んでいる可能性が高い。進むしかない。左斜めに進めば村があるはずだ。)」
矢を避けながら走り続ける。
遠距離攻撃の手段を持っていないため、反撃することは出来なかった。
逃げることしか出来なかった。
『絶望的……なのにな。』
微かに口端が上がる。
読んでくれてありがとうございました
なんか、思っていたより長くなりそうです。




