12 マル秘の共有は書斎にて Part2
「そしたら、このまま続けるね。」
「ちょっとだけ待って貰ってもいいですか?整理したくて。」
皇帝は新たに知った情報を頭の中でまとめていた。
1
最古の魔女イスキローテの本名はアリステア・フォン・セレナーデであり、この帝国の第1皇女であった。
拘束されており、そこから自由になるために戦った。
2
英雄グラナージは人間ではなく魔境で生まれた存在。魔物? 魔鬼とは面識があり、子として認識されている。
(え?既にもう結構マズくない?これ大事でしょ?何故こんな事実が伝わって無いわけ?この家系。怖っ。)
「私たちが長生きな理由って話しといた方がいいかな?」
「原因をはっきりとは説明できないだろ。イスキローテの場合は。」
「まぁそうなんだよね〜。」
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「すみません。整理出来ました。」
「じゃあ続き。そんなこんなで魔鬼とグラと出会った。」
「俺はその頃は自我がなかったから、ほぼ覚えていない。」
「そうだったね。人形みたいだった。」
「でも、今は違いますよね?」
「あぁ。ローテのおかげでな。」
「禁術でね。」
「…禁術ですか。」
「うん、まぁ、うん。ごめんなさい。」
「…はい。」
「魔鬼にこの子は酷い目にあって自我がなくなってしまったのよ。それでそれを取り戻して欲しい。そう頼んできた。魔鬼ぐらいなら自分で出来るはずなのに。」
「そして、禁術に手を出した、と?」
「うん、知識は持ってたからね。」
「待ってください。」
「どうした?」
「おかしくないですか?自我を取り戻して欲しい、は元々自我がある者にしか使わなくないですか?」
「…あ。確かに」
「だが、魔物に自我は備わっていない。」
「…勝手な想像ですが。グラナージ様が本当に魔物で自我がなかった場合。自我を取り戻す魔法をかけても何もならない。だが、魔物では無い、もしくは魔物には元々自我があったとすれば。」
「俺は魔境で生まれた。それは間違いない。人間では無いのも。その証拠に魔物特有の魔法が使える。」
「……そうなると、魔物に自我かその片鱗があるってことになる。もしかして、禁術を知るために、グラナージを寄越した。」
「嘘だろ。それって…」
「前の戦いの時はどうだったのですか?」
「何も。ただの魔物……?」
「俺は魔物の姿にも人間にもなれる。」
「え?待って??なんで気が付かなかったんだろう。あんなにタイミングよく攻めてくるのおかしいと思ってたんだよ。なんで、気が付かなかった。」
「魔物と一緒に攻めてきた他国の人間は…」
「「人間じゃなくて魔物!!」」
「…最悪の事態ですかね。」
「え、待って。あの時の襲撃がお試しだったとしたら?」
「必ず、もう1回襲撃が来る。」
「あの花は宣戦布告?」
「花?」
「私たちの家。魔境の奥にあるし、隠してある。しかも結界を色々張ってる。なのに…」
「1輪のスノードロップがテーブルの真ん中に置いてあった。」
「最古の魔女の結界を無効化した者がいるということですか!?」
「ああ。」
「その者が相当な手練なのは分かりました。ただ、スノードロップの花言葉は確か、慰めや希望などの良い意味では?悪意はあまり感じられませんが。」
「裏の花言葉があるんだ。それが…」
「「あなたの死を望みます。」」
「っつ!!」
「確実に私たち2人。もしくはどっちか片方を殺しにくる。」
「だな。」
「対処法は?」
「魔鬼を倒す。」
「だけど、それだと…」
「やるしかないよ。」
「何をするにしてもまずは魔鬼を見つけないとですよね?」
「検討はついてるんだ。辺境伯のところのあの店。」
「古びていて、どれも高価なものだった。」
「すみません。それがどうして魔鬼に繋がるのでしょうか?」
「魔鬼はその物の時間を戻し、その時にできるエネルギーで魔法を使うってことは知ってるよね?」
「はい。」
「少しややこしいんだが、この時に得られるエネルギー量はその物のこれまでの時間にどれだけ価値があるかで決まるんだ。」
「価値があればあるほど、時間を重ねていればいるほど、得られるエネルギーは多くなる。」
「つまり、魔鬼が魔法を使う時使うものは、高価で長い時間を経ている物体。」
「それだと、魔鬼にとって1番欲しいものはイスキローテ様ということになりますね。最古の魔女で、この帝国の救世主。そして、長生き。」
「…そうなるね。」
「っつ!!じゃあ魔鬼が狙ってるのは…ローテ!?」
「気づかなかったな〜。わざと、生かされてたんだろうね。」
「倒さなければ。何がなんでも。」
「…そうですね。もしイスキローテ様が魔鬼の動力源になった場合、とんでもないことになりますね。」
「だね〜。相当な……」
キィキィキィキィーー!!
ヒューオーンー!!
「……緊急事態を知らせる、サイレン。」
「この音なら魔境が氾濫したみたいだね」
「クッソ。辺境伯に行くのが先だったか!!」
バンッ!!
「ご無事ですか!?」
執事のノートンが入ってきた。
「ノートン!?」
「………結界張ってたはずなのに。よくここに入ってこれたね。君。」
「だれだ?お前。」
「私は皇帝の専属執事、ノートン・クロウスと申します。あなた方は誰ですか?ここで何を」
「ふ〜ん。これ本当にノートン・クロウス?」
「…姿はそうですね。ただ、名乗りが違う。」
紛れもなく入ってきたのはいつも見ている執事ノートン・クロウスだ。
しかし、彼は実家を嫌っている。
そのため、尋ねられない限りは絶対に家名を名乗らないのだ。
「へ〜。だそうだよ。偽物ノートンくん。」
「もう一度聞く。お前はだれだ?」
そのノートンと名乗ったものは、ニヤリと笑った。
「あれま〜。名乗りでもうバレたのか〜。もう少し騙せると思ったのに〜。残念〜。」
「2人は久しぶり〜。そして皇帝は初めまして〜。」
最悪の事態の更に上をいくことが起きた。
「僕はみんなに魔鬼って呼ばれてるんだ〜。」
敵が真正面からやってきた。
こちらの準備が不完全な状態で。
そして、魔境の管理者である、辺境伯に何も伝えられてないままで。
「よろしくね。そしてさようなら。」
「……え?」
ドサッ。
なんの予兆もなく、その場にひとつの影が崩れ落ちた。
「……え?ローテ??」
読んでくれてありがとうございました〜。




