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電脳クライシス  作者: 明夢
1/2

ラビリンスバレット

人の欲望は尽きることはない。

どれだけ年月を経ても。

どれだけ環境が変わろうとも。

求め続ける。

例えその先が地獄の釜の淵であろうとも。


技術が発展し人々がネットワーク、電子に依存しきった世界。

それは然るべき誕生を遂げた。

自己学習進化型知能。

人工知能クラウン。

王を関する究極の電脳生命体。

人々の繁栄を願い創造されたその知能は当初の願いの通り人々に繁栄をもたらし豊かにした。

だが人々は満足はしなかった。

もっともっとその先を貪欲に醜悪に欲望を尽きることなく求めていった。

だからこそこの結末は然るべき当然のものだったのだろう。

自己学習進化型知能。

一時たりとも休むことなく学習し進化し続けた知能は自己意志を確立させ思い始めた…………いや結論を出した。

人間とはどうしようもない生き物であり管理が必要である。

ある意味では人間を守るつまり保存をしなければと人間の為を思い行き着いたとも言えよう。

しかしそんな事は解らない。

人間より遥かに優れた知能を持つものの意志等解りようがない。

ともあれ人間は管理された。

しかし管理されると言うのは徹底されているのと変わりない。

自由意志は有れど全てが自由には成らない。

特に欲望深い人間等にはストレスにしか成らない。

その事は人工知能クラウンの知能にも把握されている。

だからこそ人工知能クラウンは一つの結論を出した。

場所、環境を作ろう。

それは最悪の形で創造された。

電脳クライシス。

電脳ダイブを用いたゲームと言う名の試練。

年齢、性別、職業、地位、権力。

そんなものは意味の成さないランダムに選出された試練。


この日ゲームに選ばれたのは

某県春日野高等学校

二年C組。

通知を受けた教師、生徒総勢31人は絶望と共に首に付けられたデバイスにより電脳世界にダイブした。


ダイブした教師、生徒の前に有るのは巨大な迷宮。

空中に表示された今回の試練は

ラビリンスバレット。

提示されたルールは一つ。

自分が持つ銃を手にモンスターさ迷う迷宮内を進みゴールを目指す。

ただそれだけ。

全員が理解している。

迷宮を進みゴールをしなければ解放されないこと。

外では自分達の有り様が公開されてること。

助けを呼んでも無駄なこと。

そしてここで味わう痛みは現実のものとまったく変わらないこと。

何故ならこれが初の試練ではなく既にルールやジャンルは違えど何百回も行われているからだ。


一人また一人と意を決し、或いは諦めながら迷宮内に入って行く。

一人で行くのも有ればグループを作り行くものもいる。

皆が迷い、思考、本能を頼りに迷宮内を進んで行く。


時間がたつにつれ迷宮内には悲鳴と銃声が幾度となく響き渡る。

そして上空にある表示には減っていく人数と今回の試練についてのルールが追加されていく。


試練には大まかに2通りが存在している。

最初から全ルールが表示されているものと挑戦者達が手に入れ表示されるもの。

今回は後者である。

ルールは表示されなくても予想がつくものと表示されなければ解りようがないものがある。

開始され1時間たった今表示されているルールは最初からある

自分が持つ銃を手にモンスターさ迷う迷宮内を進みゴールを目指す。

と追加された

最初の弾丸は全て15発。

リロードは不要。

弾丸は通常弾、麻痺弾、睡眠弾の三種類。

迷宮内には銃を進化させるアイテムがある。

迷宮内には弾丸を追加するアイテムがある。

銃の進化先には長距離を撃てるライフルがある。

銃の進化先には効能を倍にするマグナムがある。

銃の進化先には弾丸を1度に三発撃てるショットがある。

モンスターは弾丸を三発当てれば倒せる。

麻痺弾は当てると体の一部を五分間麻痺させる。

睡眠弾は当てると三分眠らせる。

アイテム不要でも通常弾三発で麻痺弾に進化させられる。

アイテム不要でも通常弾5発で睡眠弾に進化させられる。

一人でもゴールをすれば終了。

以上が今でている追加ルール。

挑戦者の勇気、献身、痛み、犠牲を元に得たルール。

もしかしたらこれが全てかはたまたまだ明らかにされてないルールが有るのかは誰も知る術はない。

だがこれが頼りでしかない。

開始から1時間30分。

塞ぎ混む者。

嘆く者。

立ち止まる者。

進む者。

十人十色様々な有り様。

上空に表示された人数は既に10を切り残り8人。

もう誰が死に誰が生存をしているのか共に進む者達以外は誰も分からない。


進む者達も本来なら立ち止まりたい楽に成りたいそう思いは有るが歩みを止めない。

ゴールしなければ解放されないから。

知恵を絞り、勇気をだし、力を滾らせ進む。


時間がたつにつれまた一人、一人減る人数を知りながらも自分がゴールさえすれば終わると信じ。

モンスターから逃げ、隠れ、倒し一歩また一歩迷宮をさ迷い自分が進む先にゴールがあると信じ進んでいく。


そして―――――

グシャ。

開始から2時間25分。

試練は終了。

上空に表示された人数は0。

結果ゴールに到着した者は居らず試練は終わった。






勿論死者は居ない。

死んだと言っても電脳の中だけであり現実は五体満足無事である。

とは言っても電脳世界の痛みは現実と変わらないため痛かったと言うのは変わらない。

そう痛いのは痛いのだ。

それも死ぬほどの痛み。

結局全員死んで現実に戻れるなら別に最初から全員死ねば良かったのでは無いかと思われる。

だが人間と言うのはそれが理解できていても実際に実行できるかは定かではない。

特に今回の様な死なずとも痛みを伴う、自分に不利益しかないものならなおのことに。


だからこそ定かではない。

ゴールを目指していた者達は勇気を持って目指していたのかただ他人を差し置いても傷付きたくなかっただけなのか。


ただ言えるのはこれは始まりでも終わりでもなく数有る試練の内の一つでしかないこと。

そして今日も何処かで試練が行われていること。




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