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36 ソードフィッシュ狩り3

 アルベロの調べによると、ソードフィッシュから魔力が感じられないとのこと。つまり、ルリカラの聖なるブレスとやらで魔物のエネルギーともいえる魔力を消滅させてしまったらしい。


 続いて、またしても僕の腕の中で眠りについてしまったルリカラについて。こちらは、単純に魔力切れにより眠りについているようだ。目が覚めたら魔力回復薬であるマジックポーションを飲ませてあげようとのこと。


「まったく、心配させてくれるよね」


「でも、さっきのブレスすごかったねー」


 魔力が少ないためどうやら現状一日一回しか使用できなそうだけど、その効果は若干ふかしている可能性があったものの確かなものだった。


 少なくともまだ一体も倒していない僕よりも高い戦闘力があるのは紛れもない事実だ。


 現在はルリカラをアルベロに預けて、僕とルイーズで引き続きソードフィッシュ狩りを行っている。索敵はアルベロが引き受けてくれるので、僕は待ち構えるだけでいい。


 そうして待つこと数分。ソードフィッシュは再びやってきた。


「左から一体、ニールの方よ」


 ソードフィッシュの狙いは僕。勢いをつけて飛び掛かろうとしてくる。


 ルイーズのようにジャンプするまで身動きをせずに引きつける。ソードフィッシュに空中で軌道を変更するような器用な行動はない。そこをギリギリ半身で避けつつ、ショートソードをタイミングを合わせて突き刺す。


「ここだっ!」


 少し外したか。


「ニール、もう一回」


 船の上で暴れるソードフィッシュの頭に止めの一撃。


「どえぃ!」


 しばらくバタバタと動いていたソードフィッシュが力尽きるようにその動きを止めた。


「やったねー、ニール」


「う、うん。これなら何とか討伐出来そうかな」


「いけるーいけるー」


「近くにまだ気配があるわ。ニールはスピード解体、あと、ソードフィッシュの死骸を海へ投げて」


 撒き餌が無くなったので、討伐したソードフィッシュを餌にして小魚を集める作戦に切り替えるようだ。もちろん、討伐証明と追加報酬であるお肉を除いた部分を投げる。


 いつもは魔物の死骸はインベントリのゴミ箱に棄てるだけなので、海での戦いは無駄がなくていい。


 ちなみにこのソードフィッシュ狩りだけど、一般的には五体も狩ったら船の上がいっぱいになってしまうのであまり人気ではない。なので、こちらではバブルクラブ狙いの冒険者の方が多いとのこと。


 その点、僕たちはインベントリとスピード解体があるので稼ぎはそれなりになる。


 でも、塩でかなり稼げるということもあってか、今回のソードフィッシュ狩りはステータスの向上に重きをおいている。


 なので、追加報酬分はもちろんのこと、ソードフィッシュは倒せるだけ倒す。それは僕の体力が続く限り。インベントリには十体も入ればいい方だろうからね。あとは解体処理してゴミ箱行きか撒き餌となっていく。


「ニール、後ろから来てるよー」


「ありがとうルイーズ」


 アルベロの索敵に、ルイーズもフォローしてくれながら戦えるのでなかなか安全に討伐ができている。


 慣れてくれば、余裕をもってかわすことができる。もちろん二人の声があるからというのもあるけど、これならソードフィッシュ狩りは何とかなりそうだ。


 二回に一回は一発で仕留められるようにもなっている。


 やはりEランクの魔物なので、そこまでの脅威度はないらしい。まぁ、僕もEランクなんだけれども。


 船の上だと休憩のタイミングが難しく、結局僕は二十匹を倒したところで体力の限界がきた。ルイーズは三十匹ぐらい倒している気がする。なんで全然疲れていないのだろうかこの子……。


「このレイピア凄いかも。魔力が少し減ってるけど、今までとはあきらかに動きが違うもん。やっぱり加護付きの武器って凄いんだねー」


「本当に驚いているわ。ニールに感謝しなきゃね」


「役に立てたようでよかったよ。でも、アルベロの矢は今後どうするの」


「そうよね。矢じりが使いものにならないもの。かといって、コストの安い矢だと軌道がブレちゃうし困ったわ」


 アルベロの弓はこのパーティにおいて必要不可欠な高精度飛び道具なので、使えないと攻撃のバリエーションが減ってしまう。


「じゃあ、前の弓に戻す?」


「嫌よ。これはエルフの民が喉から手が出るほど欲っする武器よ。使わないなんてことはありえないわ」


 かなり気に入ってもらえたようで、僕も何だか嬉しい。


「でも、弓矢代だって大変なんでしょー」


「そうだけど、ルイーズも見たでしょ。あのパワー」


 ソードフィッシュの頭ごと吹き飛ばしたあの一撃は今も僕の目にしっかりと焼き付いている。


「あれはすごかった」


「魔法でもないのに爆発したもんね」


 あの衝撃とパワーはアルベロの撃つハリトの倍ぐらいは威力があったと思うんだ。それが毎回撃てるとなると、あの進化個体との戦いだってあそこまで無理をせずとも倒せた可能性がある。


「少し撃つ回数は抑えるわ。あと、この弓の威力に耐えられる矢の素材を探さなきゃね」


 今使っている矢じりの素材は鉄だという。この世界の鉄の硬さというのがわからないけど、見た目はそれなりに硬い。


 鉄よりも硬い鉱石かー。異世界だけにミスリルとかアダマンタイトなどのファンタジー鉱石もあるかもしれない。


 僕もいつかそんな素材でかっこいい武器を扱えるようになりたいな。

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