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幕間-2

 ……あの日、時空の旅人様は私の推測通り、自ら裂け目を生み出しこの地へ来られました。そして『本当の』時空の裂け目に入り込んで100年後の同じ水界へと運ばれてきました。再会するとは思ってもみませんでした。


 彼の方は、聖なる国ホーリアに自国を滅ぼされ、一族をも滅ぼされたと、相当な恨みを抱えておられました。彼の方はご自身の心情を打ちあけた後、恐れを抱いた私に手をかざし、『何か』を奪っていかれました。






 私はしばらく眠っていたようですね。貴方の蹄の音で目が覚めました。不思議なことに、とても晴れやかな気分になっておりました。


 何でしょう……何かに恐れていたはずなのに、その感情をまるで抱いていなかったかのような気分です。本当に不思議です……。


 外の様子が気になりますね……。参りましょう。




 海の上に白い線が引かれ始めていますね……。そう遠くないうちに、あそこが『時空の裂け目』となります。それにしても、次の裂け目は100年後のはずなのに……今起きようとしているとは一体……。


 ……まさか、飛び込むおつもりですか?


 あそこに入ると、どの時代のどの場所へ飛ばされるかわかりません。100年後なのか、もっと未来なのか。


 その先の世界へ行くと、これまでの記憶は封じられてしまいます。貴方の『真の姿』も……失われるかもしれません。


 どうして彼の方は記憶喪失にならなかったのか?

 彼の方はたぶん、ご自分で作られた時空間を一度通ってきたから、何も失わなかったのでしょうね……。


 親切な方に助けられたらいいのですが、その保証はございません。私も一緒に飛び込めたらいいのですが、ここを見守る役目を放棄できません……。


 きっと、私とは二度と会えないでしょう……。


 それでも……貴方は彼の方を止めに向かわれるのですね。命を脅かす出来事に巻き込まれるかもしれないのに……。


 ……その覚悟、私は見届けます。


 どうか、その先の世界でもご無事で……。






 時空の狭間に飛び込むと、身体は振り回され、全身に痛みが走った。


 翼の感覚が無くなり、やがて、視野が狭くなった。


 『自分』では無くなっていく感覚が襲ってくる。


 横に伸びた白い光がこちらに迫ってきた。


 痛みのあまり、意識が薄れていく……。


 そして……。

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