トレーニング
期間は一年、この間に何をするのか?
まず、今の俺ではミラード叔母さんの斬撃を避けれない上に耐えれない。
ミラード叔母さんは、強さを隠すのが異常に上手い。カロリール家は危機察知と洞察力に優れている為、その有用性も人一倍知っている。だから、相手には一切それを作動させない方法を生み出した。
ミラード叔母さんはそれを極めていると言って良い。
なので、茶会では洞察力に優れたヘラ姉さんも俺も見破る事は出来なかった。一年後には見破る事は出来るが、この場合、重要なのは危機察知である。俺は人よりも図体がデカいので、早く避けなければならない。
ただ、あの斬撃は危機察知は一切感じる事が出来ない為、他の方法を考えないといけない。
「ピック様、準備が出来ました。」
「ご苦労。」
オスカーに用意してもらったこのトラップ部屋である。
「無目」
「何度見ても、素晴らしい技ですね。」
この技は回復魔術を教えてくれたカマラ先生もビックリしていた。
これは、腕をくっ付ける技術の応用である。あれは、切断場所同士を合わせて、神経などを再び繋げる。溶接するみたいなものである。
それに対してこの技は、簡単に言うと目蓋を閉じたままにする技である。目を閉じた後開けられないように皮膚を結合する。ここまでは俺でなくても出来る。この技は解除も可能なのである。常人ではこの後切らなくていけないが、俺は結合部分を怪我することなく解く事が出来る。
「ですが、流石に無茶じゃありませんか?」
「大丈夫。」
「分かりました。私が退出した後、罠が作動する様に出来ています。1時間後に迎えに来ます。……御武運を祈ってます。」
オスカーが退出後、壁から一斉にナイフが飛んできた。
「チッ」
やっぱり、そう簡単に感覚器官は出来ないか。
俺が視覚を無くして得ようとしている事。
それは、他の四感の強化だ。
ミラード叔母さんは最短距離を最高でしかも死角から攻めてくる。
生物最強の俺の肉体も今はまだ発展途上、どうしてもスピードでミラード叔母さんに大きく劣ってしまう。
気配消化はミラード叔母さんには完成させても効果は薄いだろう。一年間は俺達だけではミラード叔母さんにも等しくある。一年後のミラード叔母さんは今のミラード叔母さんより確実に勝てるぐらい強くなっている。それくらいカロリール家の者にとって一年間は大きいのである。
なので、俺の長所である肉体改造をより強くしないといけない。
サラ兄さん達にはもう一つの目的を言っていないが、気づいているだろうな。
まぁ、それはどうでもいい。今はこのナイフ千本になっている状況をどうにかしないとな。
いきなり、全部避けれるとは思っていないが、まさか一本も避けれないとはな。これは視覚があっても避けづらい難易度だな。やっぱりオスカーに頼んで良かったな。あいつは仕事に手心を加えない。たとえ、俺が死にしそうになっても、一時間後ならないと入ってこないだろう。他では乱入しそうだからな。
それにしても、これはプランBにした方が良さそうだな。