説得
「いや〜、やっぱり実家の飯は美味いな。」
「そりゃあ、ミラード姉さんは最近まで戦場に居たんだから、どこの飯でも美味しく感じるでしょ。」
「いやいや、それでもここの飯はどこよりも美味いよ。流石国内で最も発展している都市だけはあるよ。外に出てそれをより実感したわよ。」
ミラード叔母さんは、単身海外で傭兵として活動していた為か見聞が広い。
ちなみに、ダンデラは帰った。ミラード叔母さんの乱入により茶会が台無しになったので、また後日やるらしい。
「?ピック、それだけしか食べないのか?」
ミラード叔母さんは俺の食欲を知らないので、見た目から沢山食べるだろうと思っていたのだろう。
俺が少ししか食べてないのを気にしているようだ。
「ミラード姉さん、ピックは少食だ。それにさっき、茶会でパイを食べたんだ。そんなに食わないよ。」
「えぇ、そうなのか?うちとしては珍しいな。」
何故か知らないが、この家の人は大食らいが多い。
「それで身体が保つのか?」
「ミラード義姉様、ピックは光合成が出来るのです。なので、そもそも食べる事もあまり必要ないのです。」
まぁ、ちょっと違うんだけどね。
俺の光合成は植物とは違って、光だけではなく熱からも栄養を生み出す事ができる。
つまり、太陽光発電だけでなく地熱発電も可能というわけだ。
「ふーん、それはまた、変な人間が産まれたものね。お母さんより特殊なんじゃない?」
「かもしれないね。あそこまでは人外にはまだなっていないけど。」
俺より人外でどんだけだよ、お婆ちゃんは。
「父さん、そんな事よりも新大陸の件どうして俺達に黙ってたんだ。」
サラ兄さんがミラード叔母さんがポロリと喋ってしまった秘密について追求し出した。
「そんなの事言えば、お前達行きたがるだろう。」
「「「当然」」」
やっぱり、ミル以外新大陸に行きたいようだ。
「ほら、だからだよ。お前達を行かす事なんて出来ない。」
「どうして?」
俺はお父さんに理由尋ねた。
「お前達はまだ、自分の能力を使いこなしていない。それに出発は3年後だが、お前達は留学に行っているだろう。」
「そんな事よりも新大陸の方が重要でしょ。」
ヘラ姉さんが意見した。
「確かに重要だが、お前達が行く必要がない。ミラード姉さんで事足りる。その為に呼んだんだ。」
「そうね。大切な弟の頼みだから。受けてた仕事を全てを急いで片付けてきたわ。大変だったわ。」
口では大変だったと言っているが全然大変だった風に見えないミラード叔母さんだった。
「でも、いいじゃない。行かしてあげても。」
「ミラード姉さん……」
まさかの援護射撃に俺達もビックリである。
「どうせ、色々問題があるんでしょうけど、私がいれば片付く問題でしょ。」
「………………分かった。」
長考の後、お父さんから許可が出た。
「ただし、一人だけだ。誰が行くかはお前達で決めろ。」
そう言うとお父さんは食堂から出ていった。