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序章 最強過ぎる魔王が配下達を前に愉快に笑う

 玉座に座り、階下に並ぶ配下達を見やる。


 一人立ち上がり、私に向かって主張しているのは将軍級の男だった。周囲の歓声に埋もれてしまい、なにを言っているのか定かではないが自身の功績を誇示しているようだ。


 先の戦で対抗勢力だった主要人物を見事に討ち倒した男だ。


 一週間は掛かると踏んでいた戦も、蓋を開けてみれば三日も持たず終わりを迎えてしまった。


 終始我が勢力が押し続け、最後は敵の将が一時流れを押し戻し掛けたが私が自ら出向いてしまえば、一瞬にして積み上げて来たものが霧散することとなった。


 他愛の無いことだ。


 魔王として君臨してもうどれだけの年月を重ねて来ただろうか。


 その間も取って代わろうとする勢力が数々現れたが、悉く瞬殺して時には残党を戦力に加えて来た。


 どいつもこいつも弱過ぎる。


 開戦前には威勢の良い姿を見せてくれるのだが、いざ始まってみれば恐怖に怯えて震えるばかり。


「おい、この間戦った勇者ってどんなだっけ?」


 誰にでも問い掛けると、一人の男が屈強そうな男が我先にとそれに答える。


「千年に一人の逸材と呼ばれるまさに世界の救世主と呼ばれた勇者でございます」


 それはそれは大それた呼び名であることだ。


「で、そんな勇者が私に挑んだ訳だが結果はどうだったか?」


「デコピン一発で即死という呆気無いものでした!」


「そうだったな!いや、愉快愉快!」


 聞いて、当時のことを思い出すだけで哄笑してしまう。顎が外れ、窒息しそうになるくらい弱っちかったな。


 苦戦というものすらしばらく味わっていない。


 強過ぎるというのも罪なものかもしれない。


 皆の声に呼応するかのように、ゆっくり立ち上がるとそれを切っ掛けに耳をつんざくばかりの喧騒は鳴り止んでくれる。


 皆が私の声を待っている。


 なにを話したかは覚えていない。


 だが、次の瞬間には戦士達の雄叫びが響き渡ることとなる。


 それを心地良いとしていたのだが、数ある配下の中で一人不安そうにこちらを見詰める男の姿があった。


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