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銀白色の涙  作者: どらえもん
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電源車を福島へ

 電源車を福島へ


 午後7時9分、首相官邸の大会議室に飛び込んできた江田官房長官らが席についた。原子力災害対策本部会議は、菅原の一言で始まった。

 「1号機の非常用電源が切れたということだが、原子炉を冷やす冷水ンプを動かす電源を運べばいいんだろ?」

 「はい。非常用の電源を急いで届ける必要があります」

 原子力安全・保安院の担当者が答えた。

 「電源車があるよな。あれを自衛隊のヘリで運べないか?」

 菅原はここでもヘリにこだわっていた。

 「いえ、さすがに電源車は、4トンぐらいありますから、ヘリでは運べないでしょう。もう真っ暗ですし。高速で行けるところまでいければ、3時間ぐらいで着くはずです」

 「それで間に合うのか?」

 「はい、緊急事態マニュアルでは、8時間以内に電源を復旧することになっていまして。一時的に炉内の温度が上がっても冷水の注入が再開できればいずれ冷温停止できます」

 「では東電に電源車をあるだけ福島に送れと指示するように。それと、(原子炉の気圧を下げるために炉内の放射能を含んだ空気を逃がす)ベントをするかもしれないから、周辺住民に避難指示を出さないといけない。半径10キロぐらいか?」

 菅原がどんどん先へ進もうとするのを原子力安全・保安院の次長が慌てて止めた。

 「避難指示を出す場合は、関係自治体と協議する約束になっています。まず協議をさせてください」

 「そうか。早くしろ」

 菅原の指示で原子力保安院の次長が席を外す。手持ち無沙汰になった菅原は、すぐに会議を地震の災害対策本部の会議に切り替えて、最新の報告を求めた。しかし、震災対応の各省担当者たちは地下の危機管理センターにいたため、急遽大会議室に呼び上げられた。

 実際は、菅原の指示の前に東電は合計62台の電源車を送っていたが、大渋滞で進めなかったため、午後6時20分に北東電力に電源車を福島第一原発に向かわせるように要請している。

 午後8時50分、福島県知事は、福島第一原発から半径2キロに避難指示を出した。危機管理センターでその報告を受けた菅原は、「ベントの可能性があるから半径10キロ避難」を主張した。原子力保安院との調整の結果、「半径3キロ避難。半径3キロから10キロまでは屋内退避」という指示が午後9時23分に政府から出された。

 午後10時前に東京から福島に向かったうちの6台の電源車が現地に到着したという一報がもたらされ、危機管理センターの緊張は一時緩んだ。


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