空飛ぶ無人偵察機と見つからない家族
空飛ぶ無人偵察機と見つからない家族
カチカチと時折、光を発しながら福島第一原発の上空に1機のうなぎのように細長い機体の飛行機が飛んでいた。長く真横に伸びた双翼と斜め下に突き出した尾翼が特徴的な機体は、捕食者というあだ名で呼ばれる。米空軍が誇る無人偵察機RQ-1プレデターだ。在日米軍のものかはわからないが、その機体は、女川原発や福島第二原発の上空でも11日の夕刻に多くの人に目撃されている。
地震後、仕事を早退して車で大熊町の自宅に戻った竹田良一は、あるはずの自宅がなくなっていることに呆然としていた。津波は、家も周りの木々もすべてを飲み込んで、ごっそり持ち去っていた。家だった場所に、愛する妻と娘の姿はなかった。
「京子~。愛美~」
竹田は、妻と娘の名前を叫びながら、海岸の瓦礫だらけの砂浜を駆けていた。日が落ちても、ずっと。自分には、妻子を探し続けることしかできない。どこにぶつけたらいいのかわからない衝動に突き動かされるように、竹田は砂浜を走り続けた。
「うおおおおお。京子~。愛美~」
怒りと慟哭が入り混じった唸り声。それを見かけた知人は誰も竹田を止めることができなかった。