表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀白色の涙  作者: どらえもん
6/51

空飛ぶ無人偵察機と見つからない家族

 空飛ぶ無人偵察機と見つからない家族


 カチカチと時折、光を発しながら福島第一原発の上空に1機のうなぎのように細長い機体の飛行機が飛んでいた。長く真横に伸びた双翼と斜め下に突き出した尾翼が特徴的な機体は、捕食者というあだ名で呼ばれる。米空軍が誇る無人偵察機RQ-1プレデターだ。在日米軍のものかはわからないが、その機体は、女川原発や福島第二原発の上空でも11日の夕刻に多くの人に目撃されている。

 地震後、仕事を早退して車で大熊町の自宅に戻った竹田良一は、あるはずの自宅がなくなっていることに呆然としていた。津波は、家も周りの木々もすべてを飲み込んで、ごっそり持ち去っていた。家だった場所に、愛する妻と娘の姿はなかった。

 「京子~。愛美~」

 竹田は、妻と娘の名前を叫びながら、海岸の瓦礫だらけの砂浜を駆けていた。日が落ちても、ずっと。自分には、妻子を探し続けることしかできない。どこにぶつけたらいいのかわからない衝動に突き動かされるように、竹田は砂浜を走り続けた。

 「うおおおおお。京子~。愛美~」

 怒りと慟哭が入り混じった唸り声。それを見かけた知人は誰も竹田を止めることができなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ