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致命的な欠陥と原発廃炉の決断
致命的な欠陥と原発廃炉の決断
3月末、現地視察を終えた民主党の調査団が東京に戻ってきた。衆院第一議員会館のロビーで、団長の真渕澄夫衆院議員を見つけた町田は、一緒にエレベーターに乗り込んで、真渕の部屋まで付いていった。
「それで、どうでしたか、現地は?」
「どうもこうもない。そもそも何であんな場所に原発を建てたのか。一級建築士には理解不能だ」
真渕は、憤懣やるかたないといった表情を見せた。
「1号機から4号機まで崖を切り通して建屋を立てているんだが、全部水浸しだ。地上1メートルの腰より高い位置に地下水の層がある。あれでは雨が降るたびに地下水が流れ込んで放射能汚染水になる。それをどうやって処理するか。廃炉にすること自体、道筋が見えないが、廃炉以外はありえない。」
建屋より1メートル高い位置にある地下水の層の存在。それは、原発立地にとっては致命的な欠陥だった。
それがわかっていて、8号機までの建設計画が立てられていたことに、町田は原発官僚の業の深さを感じずにはいられなかった。
調査団の報告を受けてすぐ、菅原首相は、福島第一原発の廃炉を決めた。原発官僚に有無を言わせぬ政治主導の決断だった。




