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銀白色の涙  作者: どらえもん
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一番正直な原子力安全・保安院幹部

 一番正直な原子力安全・保安院幹部


 3月下旬、交流電源の復活で福島第一原発が落ち着いてきたのを受けて、町田は、福島第一原発事故の将来的な終息に向けて、ヒアリングを始めていた。最初に部屋に呼んだのは、原子力安全・保安院で最も正直と言われた中村審議官だった。

 「何だかここに来るのも大変だったみたいですね」

 町田が突っ込みを入れると、中村は顔をしかめて言った。

 「ええ、このあと役所に戻って、ここで話したことを全部話すことになっています」

 「同席者を認めないというだけで、そこまですること自体が怪しすぎなんですがね。とにかく今日は政府の見解ではなく、あなた個人の見解を率直に言ってもらいたい。話したことはあくまで個人の見解として扱うということはお約束ですから」

 「はい。個人の見解なら。何を聞いていただいてもお答えできますから」

 「では最初に基本的なことから。1号機はメルトスルーしたが、奇跡的に下に津波で海水が流れ込んでいて、チャイナシンドロームには至らなかった。メルトスルーした物質は、いまも高濃度の放射能を放出している。3号機はメルトダウンして格納容器まで達したが、かろうじてメルトスルーはしていない。2号機も半分ぐらいメルトダウンしている可能性がある。それで間違いありませんか?」

 「間違いありません」

 「1号機は、海水がなければメルトスルーした超高温の放射性物質がどんどんと地中に沈んでいくチャイナシンドロームを起こし、それが地下水の層やマグマに達すれば、巨大な爆発を起こす可能性があった。どうですか?」

 「その可能性はあったと思います」

 「3号機の爆発で飛散した放射性物質は、米軍の無人ロボットを借りてある程度回収は進んだと聞いていますが、海中に落ちたものと1号機のメルトスルーした放射性物質は回収できていない。それらを回収して不慮の爆発の可能性がなくなるまで、菅原さんが出した原子力緊急事態宣言は解除できないということですよね?」

 「はい。その通りです」

 本当に正直な人だなと、町田は感心しながら続けた。


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