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銀白色の涙  作者: どらえもん
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日本人を救うことは海兵隊の任務ではない

 日本人を救うことは海兵隊の任務ではない


 15日午前11時、政府は福島第一原発から半径20キロから30キロの範囲に屋内退避指示を出した。12日から続いた首相と原発官僚の避難範囲をめぐる論争の一応の終結を意味していた。ここからは、菅原首相は、福島第一原発で断続的に続く爆発や火災の消火活動に集中することになる。

 15日昼、50人の隊員を乗せた大型輸送機で横田基地に到着した在沖縄海兵隊のヒューイット隊長は、すぐに車で市ヶ谷の防衛省地下のGHQに向かった。

 隊長を迎えたハートマン総司令官は、今回呼び出した任務について話した。

 「というわけで、すぐに百里基地に向かって、本国から消火剤が届くまで福島第一原発の燃料プールに水を投下する任務に就いてもらいたい」

 「お断りします」

 ヒューイット隊長は、きっぱりと拒否した。

 「どうしてだ」

 「日本人の命を救うことは海兵隊の任務ではありません。それは、自衛隊の任務だ。それはおわかりでしょう。それに、われわれは奇襲が専門で、目に見えない放射能という敵と戦う訓練は一切していません。海兵隊には放射能などの専門の特殊部隊もいるし、スリーマイルの時に活躍した特殊部隊が本国にいるはずです。司令官の権限で、専門の部隊を呼べばいいじゃないですか」

 ヒューイットの頑なな姿勢に、ハートマンは顔をしかめるしかなかった。ふといいことを思いついたように、ヒューイットは続けた。

 「このまま沖縄に帰るのもなんですから、われわれは海軍が仙台空港でやっているトモダチ作戦に参加してきます。その方が、沖縄でのわれわれのプレゼンスを維持するのには、役に立つでしょう」

 ヒュ-イットは、得意げにウインクまでして見せた。

 「仕方ないな。奥の手を出すか」

 ハートマンは、渋々という表情で、ヒューイットの提案を受け入れた。

 海兵隊の部隊は翌日、仙台空港に着いたが、すでに12日からの米海軍の活躍で滑走路の瓦礫が取り除かれたところに悠然と飛来したため、同僚の海軍側からも「今頃何しに来たの?」という白い目で見られることになった。

 そして、米軍側からは15日夜、自衛隊にこういう回答がされた。

 「約束の消火剤は専門の部隊とともに日本にくる。それまでの間は、自衛隊がまず自力で任務を果たしてほしい」

 日本側からの情報が十分に得られないまま、米軍が福島第一原発の消火活動に動き出したことをつかんだ米原子力規制委員会(NRC)のヤッコ委員長は。16日、福島第一原発から半径80キロの範囲にいる米国人に避難勧告を出した。


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