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銀白色の涙  作者: どらえもん
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CIAが作った放送局と“原子力の父"

 CIAが作った放送局と“原子力の父”


 日本がまだ連合国軍総司令部(GHQ)の統治下だった1951年10月、日本で初めての民間放送局となる大日本テレビの免許申請が電波監理委員会に提出された。提出したのは、黄泉売新聞社長の正力松太郎。いわゆる“大正力”である。第二次世界大戦開戦時に大政翼賛会総務で小磯内閣顧問だった正力は、A級戦犯として巣鴨拘置所に収容され、公職追放により貴族院議員を失職した。しかし、1947年9月、不起訴となり、岸信介らとともに釈放されていた。

 大日本テレビは、日本の独立から3カ月後の1952年7月31日、NHKに先駆けて日本で初めての放送予備免許を受けた。GHQが実質審査を終えていたためで、その後ろ盾がCIA(米中央情報局)だった。

 2000年以降に次々に米国で公表された外交文書によって、当時、巣鴨拘置所に収容されていたA級戦犯のうち10人がCIAのエージェントとなって米国に協力することを誓い、釈放されたことが明らかになった。正力も名前が明らかになっているCIAエージェントの一人だ。

 米国立公文書記録管理局が公表した外交文書によると、CIAがつけた正力のコードネームは「podam」。英語で「我、通報す」という意味だ。冷戦下で、旧ソ連や中国との対立を深めていた米国は、日本を反共産主義の砦とするべく正力の黄泉売新聞(コードネームPOBULK)と大日本テレビを通じて「反共親米」に日本国民の意識を導く情報操作作戦を行った。作戦名は「Operation Podalton」。「Podalton」は、大日本テレビのコードネームだった。大日本テレビは、開局時の放送機材をすべて米国から輸入したため、免許では先んじたものの、実際の放送開始は、国産で放送機材を揃えたNHKの半年後だった。

 正力がCIAの非公然工作に協力していたことは早稲田大学の有馬哲夫教授が、週刊新潮2006年2月16日号で、米国立公文書記録管理局によって公開された外交文書(メリーランド州の同局新館に保管されている)を基に明らかにしている。

 正力の名前は、当時CIAが行ったもう一つの作戦でも登場する。作戦名は「KMCASHIR」。日本に原発施設をプラント輸出するため、広島、長崎への原爆投下で強く印象つけられている日本人の原子力に対する恐怖心を取り除くよう正力率いる黄泉売新聞・大日本テレビグループのメディア力を使ったプロパガンダが展開された。それはまさに、原発安全神話の啓蒙活動だった。

 1955年当時、正力に接触したCIAエージェント(富士基地所属)は、アイゼンハワー大統領の「平和のための原子力」計画に基づいて、正力が原子力の安全性と反対する共産主義活動家の排除に関して長期的なキャンペーンを「グループの全力で行う」ことに同意したと7月5日付の公電で本国に報告している。正力は1955年11月から6週間、東京で黄泉売新聞グループ主催の「平和のための原子力展示会」を開催。初日にはアイゼンハワー米大統領のメッセージが届いた。主催者発表で37万人をあつめたイベントは、黄泉売以外の新聞、テレビでも大きく報じられた。11月17日付の正力からアイゼンハワー大統領に宛てた感謝レターもCIAの公電とともに公表されている。

 1955年2月に衆議院議員に当選した正力は、保守合同で11月に誕生した第三次鳩山内閣で北海道開発庁長官兼原子力担当大臣として入閣。翌年の原子力委員会(1月)、科学技術庁発足(5月)に伴い初代の原子力委員長、科学技術庁長官となった。1957年7月、第一次岸改造内閣で4代目の科学技術庁長官にも就任し、原発推進の姿勢を貫いた正力は、“原子力の父”とも呼ばれることになる。大臣就任後に、正力のコードネームに「POJACKPOT-1」が加わった。CIAにとって自ら進んで米国の利益に貢献する正力は、まさに大当たり(JACKPOT)だった。

1956年1月4日、初代原子力委員長に就任した正力は、初会合で日本に原子力発電所を5年後に建設する構想を発表。これに対して、後にノーベル物理学賞を受賞する原子力委員の湯川秀樹は、「動力協定や動力炉導入に関して何等かの決断をするということは、わが国の原子力開発の将来に対して長期に亘って重大な影響を及ぼすに違いないのであるから、慎重な上にも慎重でなければならない」と強く訴え、抗議のために辞任した。


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