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銀白色の涙  作者: どらえもん
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あの「GHQ」と、この「GHQ」

 あの「GHQ」と、この「GHQ」


 14日夕、北川俊美防衛相から直接、「極秘命令」を受けた統合幕僚会議議長の栗田洋一は、防衛省地下3階に向けてエレベーターを降りていた。特別なICカードと顔認証の二重チェックをパスしなければ、たとえ防衛省の人間でも、大臣すら入ることはできない。日本人の税金で作られた国の建物でありながら、実際に、そこに入ることができる日本人は、自衛隊制服組のトップである統幕議長と陸海空自衛隊の各幕僚長の合計4人だけだ。

 防衛省の地下二階は、核攻撃にも耐えるシェルターになっている。わが国周辺だけでなくペルシャ湾までのシーレーンまで映す巨大なモニターにイージス艦などの現在地が常時映し出される中央指揮所がある。北朝鮮のノドンミサイルへの対処などは、ここで行われている。

 さらにその下の地下深くにある地下三階は、いわば二重のシェルター構造で.いかなる核攻撃にも耐えるように作られている。そこは、日本であって日本ではない。米本土からの郵便物が「国内郵便」で届く場所。文字通り日本の中のカリフォルニアなのだ。しかも、国が国会に対して配った資料には、地下三階には健康センター(ジムなど)があるという偽装までされている。秘密の施設である。

 栗田は、地下三階に着くと、真っすぐに在日米軍総司令官の部屋を訪ねた。急な訪問だったが、先に連絡を入れていたため、在日米軍のハートマン総司令官は、いつものようにハグで栗田を迎えた。

 「今、陸海空軍の司令官も呼んでいるから、紅茶でも飲んで少し待っていてくれないか?」

 「いえ、急にお願いを聞いてもらうのですから。このままこちらで待たせてもらいます」

 栗田は、改めて室内を見回し、マッカーサー元連合国軍総司令部(GHQ)総司令官の写真が飾られているのに目を止めた。

 「折角時間があるので、前から聞きたかった質問をしてもいいですか?」

 「いいよ。何でも聞いてくれ」

 「ここは、在日米軍の総指令部でGHQと呼ばれていますが、このGHQとあのGHQは、どういう関係なんですか?」

 栗田は、マッカーサーの写真を指差しながら、恐る恐る聞いた。

 「いい質問だね」

 ハートマン総司令官は、少し悪戯っぽく笑って言った。

 「敗戦後、パイプを咥えたマッカーサー元帥とともにGHQが日本にやってきたニュースは知っているね」

 「ええ、有名な写真が残っていますから」

 「では、あのGHQが日本が独立したときに、出て行ったというニュースは、聞いたことがあるかい?」

 「いいえ。マッカーサーが解任されて帰国したというニュースは見たことがありますが、GHQが日本を出て行ったというニュースは、見た覚えがありません」

 「サンフランシスコ条約が米国内で批准されて発効する時に、国内の関連法も改正された。そして連合国軍総司令部(GHQ)は、在日米軍総司令部(GHQ)と読み替えることになった。つまり、あのGHQは、このGHQなんだ。だから、あのGHQの二代目総司令官リッジウェイ元帥が、このGHQの初代総司令官でもあるんだ」

 ハートマンは、マッカーサーの隣に掲げられたリッジウェイの写真を指して茶目っ気たっぷりな口調で話した。どっきり作戦成功というプラカードでも持ち出しそうなくらいに。

 栗田は、少し眩暈がした。あかん、これは緘口令をしかないといけないやつや・・・。


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