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銀白色の涙  作者: どらえもん
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集まらない情報と二つの原子力災害対策本部

 集まらない情報と二つの原子力災害対策本部


 「どうなっているんだ」

 菅原首相は、怒っていた。本部長である自分のところに、1号機の爆発といったクリティカルな情報がすぐに入ってこないことに。そして、13日朝、東電本社と首相官邸を結ぶ直通のファックスとホットラインを設置させた。3号機のメルトダウンを阻止することに集中していた菅原は、まだこの時点では気付いていなかった。ある人物によって、自分のところに入るべき情報が意図的かつ組織的にブロックされていたことに。

 スリーマイル島事故後に原発事故で放射能漏れが起きる事態に備えて原子力研究所が開発した緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は、東電が15条事態を通報した時点でただちに稼働していた。日本気象協会からアメダスなどの気象情報をリアルタイムで収集し、原発周辺の地形データとモニタリングポストで観測された放射線数値をもとに放射線の拡散予測をするSPEEDIのデータは、避難誘導の方向を指示するうえで決定的に重要な情報だった。SPEEDIのデータは、マニュアル通りに原子力安全技術センターから経済産業省地下の「原子力災害対策本部事務局」に送られ続けていた。しかし、そのデータが、首相官邸の菅原らに届くことはなかった。マニュアル通りに在日米軍には提供されていたのに。

 原子力緊急事態対応マニュアルは、そもそも大地震や津波をきっかけに原発事故が起きることを想定していなかった。原発事故は平時に単独で起きると想定され、政府の各省庁や機関が収集、作成した情報は、リアルタイムで経済産業省地下の原子力災害対策本部事務局に集まるようになっていた。すべては、原発官僚が緊急事態を取り仕切るために。


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