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銀白色の涙  作者: どらえもん
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メルトダウンの可能性

 メルトダウンの可能性


 町田も、自室でニュースを見て、1号機の爆発を知った。しかし、菅原とは驚きのポイントがずれていた。町田は、ニュースで見た爆発の映像が、地震が発生した時に、山王タワービルの壁面に浮かび上がるように見えた爆発の映像と全く違うことに驚いていた。町田に見えた映像は、核爆弾が爆発した時に発生するきのこ雲のような黒い雲が原発のような施設から立ち上がる映像だった。

 町田は、自分に見える未来の映像が、自分か自分と近い人に深く関わるものだということを経験則で知っている。

 「ってことは、まだこれからさらに大きな爆発があるってことか。覚悟しておいた方がいいな」

 買いそろえてきたマットレスと布団一式のお泊りセットを応接室に広げながら、町田は議員会館泊りがしばらく続くことを覚悟していた。


 その夜、原子力安全・保安院で開かれた記者会見では、矢のような質問が飛んでいた。

 「この爆発は、原発でメルトダウンが起きたということですか?」

 「ベントは成功したという報告が東電から来ています。ベントが成功すれば、理論的にはメルトダウンは起きないはずです」

 「じゃあ、なぜ爆発したんですか?」

 「ウェットベントをすると建屋内に放射能を含んだ水素が溜まります。それを建屋の外へ逃がす排気口がうまく作動していないと水素爆発を起こす可能性はあります」

 「可能性の話じゃなくて、政府の見解を聞いてるんです。可能性ならメルトダウンの可能性もあるんじゃないですか?」

 「ありますね。可能性としては」

 淡々と技官らしい応答をしたのは、原子力安全・保安院の中村透明審議官だ。技官系ではトップの保安院ナンバー3である。

 翌日の新聞各紙には、「福島第一原発で水素爆発」「メルトダウンの可能性」という見出しが躍った。

 そして、その後、中村審議官が記者会見を開くことはなくなった。そのことによって、マスコミから中村審議官は「保安院で最も正直な幹部」という評価をもらうことになる。逆に言えば、中村審議官以外の保安院幹部は、嘘つきだらけということになるのだが・・・。


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