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銀白色の涙  作者: どらえもん
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巨大メトロノーム

 巨大メトロノーム


 2011年3月11日の午後2時半を大きく回り、慰労会を終えた町田たちがホテルを出たところで町田の携帯が鳴った。通信会社の知り合いの女性からだった。

 「元気? 今度、食事に誘おうかと思っていたところだった」

 彼女が話し出したところで、急に音声が弱くなり、プツリと途切れた。あれ、変だな、と携帯の具合を確かめようとした途端に、大きな縦揺れと横揺れが襲った。キャーっと、玄関ホールに入ろうとしていた田中京子とモンゴルからの女性留学生アンが外に飛び出してきて、向き合ったまま頭を抱えて蹲った。

 町田は、二人の様子を気にしながら、その二人に重なるようにゆっくりと巨大な影が動いているのに気が付いて、後ろを振り返った。山王タワービルが、巨大なメトロノームが時を刻むように、ゆっくりと大きく左右に揺れていた。

 そして、その巨大メトロノームの壁面に、津波が大きな鉄塔を飲み込む映像と何かが爆発する映像が「見えた」。

 「これは、大きくて遠い? 東北か東海か? 嫌な予感しかしないな」

 高層ビルの揺れ方から、震源地が関東ではないと当たりをつけた町田は、関東で震度4ぐらいと体感で判断し、震源地次第では大事になると即断した。

 「さあ、二人とも立って。まだ余震が来るかもしれない。外より議員会館の中の方が安全だから、中に入って。一度部屋に戻ろう」

 エレベーターは・・・、やはり動いていないようだ。「マジか」。やむなく非常階段で11階の部屋まで戻ることにする。

 「ここって地下4階だったよね」

「はーい。頑張ってくださいね~」

「チクショウ、ハライッパイクウンジャナカッタ~」

なぜか言葉をカタカナにしながら、町田は、先行する女性陣を追いかけて地獄の階段上りに挑戦していた。


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