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銀白色の涙  作者: どらえもん
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進まない避難確認

 進まない避難確認


 避難指示が出ている半径3キロ以内の大半の家は、すでに避難しているのか十回以上コールしても電話は通じなかった。電話がかからない家には、△の印がつけられていく。

 地震や津波など何らかの理由で電話がかからない家の避難確認をどうすればいいか。東電からの問い合わせに対する経産省の答えは、「自分たちで何とかしろ」という素っ気ないものだった。途方に暮れる社員たちに、止めを刺す情報がもたらされた。

 「避難を拒否している住民がいます」


 妻と娘を探し回っていた竹田は、大熊町の町役場にいた。

 「京子と愛美を見つけるまでは、避難はできない。一緒に探してくれ。頼む」

 竹田は、町長に懇願した。町長は、竹田の肩に手を置いて諭すように言った。

 「二人のことは、警察に任せて、先に避難してくれないか」

 「嫌だ。二人と一緒でなければ、避難しない。生きている意味がない。頼む。一緒に探してくれ」

 竹田は、避難を拒否した。


 午前3時ごろの東電本社は、暗澹たるムードだった。避難拒否者の存在。十数人の行方不明者の存在。そのすべてが、「避難確認」が終わらない作業であることを示していた。原発は地震や津波があっても大丈夫という根拠のない“原発安全神話”を前提に、原子力緊急事態対応マニュアルは作られていた。地震や津波で多数の行方不明者が出る中で、原発に緊急事態が起きることが、そもそも想定されていなかったのだ。しかも、地元警察ではなく電力会社が遠隔地から避難確認をするのは、至難の業だった。


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