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銀白色の涙  作者: どらえもん
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全電源喪失8時間超

  全電源喪失8時間超


 オバマ大統領との電話会談を終えた菅原は、そのまま執務室に残った。携帯電話を取って連絡を入れた先は、経済産業副大臣の池山元久だった。菅原とは四半世紀の付き合いだ。

 「ガンちゃん、すまないが、今から福島第一原発に車で行ってくれ。現地で指揮をとれる政治家が必要だ。大臣は東電本社をお願いしているから、あなたに現地に行ってもらうしかない。もうすぐベントを指示する。東電からも誰か責任者を連れて行ってくれ」

 「わかった。今は、会長も社長も不在だから、副社長を連れて行こう。原子力・立地本部長だから、丁度いい」

 池山は、深夜の無茶ぶりにも二つ返事で答えた。

 「日の出とともに、俺もヘリで現地に行く。1時間ぐらいで着くはずだ。現地で会おう」

 慌しく電話を切った菅原は、今度は国家公安委員長の中村に電話し、地元警察の避難指示が終わったのを確認したらすぐに連絡するように指示した。

 執務室に呼び入れた江田官房長官と福井官房副長官に現地に池山経産副大臣を向かわせたことなど今後の配置を伝え、自分がヘリで離れる間の官邸の指揮を江田に委ねた。その後、菅原はまた危機管理センターに戻った。午前零時53分のことだ。

 危機管理センターで福島第一原発の最新情報と火力発電所の火災が鎮火したことなどの報告を受けた菅原は、午前1時36分に一度執務室に戻り、ソファにごろりと横になった。どんな時でもわずかな隙を見つけて仮眠をとるのは、菅原の得意技だった。睡魔が菅原を襲う。

 午前2時。福島第一原発1号機は、「全電源喪失から8時間」という電源復旧のタイムリミットを過ぎようとしていた。これ以降は、マニュアルにはない、人類ではスリーマイルやチェルノブイリでしか経験していない領域へと事故は進んでいく。



 オバマ大統領との電話会談を終えた菅原は、そのまま執務室に残った。携帯電話を取って連絡を入れた先は、経済産業副大臣の池山元久だった。菅原とは四半世紀の付き合いだ。

 「ガンちゃん、すまないが、今から福島第一原発に車で行ってくれ。現地で指揮をとれる政治家が必要だ。大臣は東電本社をお願いしているから、あなたに現地に行ってもらうしかない。もうすぐベントを指示する。東電からも誰か責任者を連れて行ってくれ」

 「わかった。今は、会長も社長も不在だから、副社長を連れて行こう。原子力・立地本部長だから、丁度いい」

 池山は、深夜の無茶ぶりにも二つ返事で答えた。

 「日の出とともに、俺もヘリで現地に行く。1時間ぐらいで着くはずだ。現地で会おう」

 慌しく電話を切った菅原は、今度は国家公安委員長の中村に電話し、地元警察の避難指示が終わったのを確認したらすぐに連絡するように指示した。

 執務室に呼び入れた江田官房長官と福井官房副長官に現地に池山経産副大臣を向かわせたことなど今後の配置を伝え、自分がヘリで離れる間の官邸の指揮を江田に委ねた。その後、菅原はまた危機管理センターに戻った。午前零時53分のことだ。

 危機管理センターで福島第一原発の最新情報と火力発電所の火災が鎮火したことなどの報告を受けた菅原は、午前1時36分に一度執務室に戻り、ソファにごろりと横になった。どんな時でもわずかな隙を見つけて仮眠をとるのは、菅原の得意技だった。睡魔が菅原を襲う。

 午前2時。福島第一原発1号機は、「全電源喪失から8時間」という電源復旧のタイムリミットを過ぎようとしていた。これ以降は、マニュアルにはない、人類ではスリーマイルやチェルノブイリでしか経験していない領域へと事故は進んでいく。


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