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銀白色の涙  作者: どらえもん
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オバマ大統領との電話会談

 オバマ大統領との電話会談


 「米国のオバマ大統領から電話会談の要請がありました。執務室に戻ってください」

 外務省出身の首相秘書官に促されて、菅原は、危機管理センターから執務室に戻った。午後11時55分。外交上の音声記録や同時通訳が必要なため、電話会談は常に執務室で行われる。松島剛明外相、梅田北米局長、福井哲郎官房副長官らが同席した。スタンバイ状態であることが伝わり、12日午前零時15分にオバマ大統領から電話が入った。

 「今回の震災で大変な被害が出ているようで、米国民を代表して、また私個人としても心からお見舞いを申し上げます」

 「お心遣いありがとうございます」

 菅原は、G7サミットなどで何度も会談しているオバマ大統領の低い声に不思議と安心感を覚えていた。黒人初の大統領のオバマと市民運動出身で初の首相となった菅原は、互いに共通する何かを感じあっていたのかもしれない。

 「同盟国の日本のためにわれわれにできる協力をしたい。在日米軍が利用可能な仙台空港が地震と津波で閉鎖されていると聞いている。在日米軍がその復旧に当たるのは問題ないので、われわれに任せてもらえないか」

 「それはありがたい申し出です。自衛隊は、孤立した集落の人々の避難や山火事の消火活動などを優先していて、空港の瓦礫除去までは手が回っていません。米軍にお願いできれば大助かりです」

 「ではすぐに対応しましょう。福島第一原発で緊急事態を宣言されたとも、聞いています。われわれには、スリーマイル島の不幸な事故の経験もありますから、何か手伝えることがあるかもしれません。気が付いたことがあれば、いつでも言ってください」

 「ありがとうございます。スリーマイル事故の報告書は全部読んでいます。チェルノブイリ事故の報告書も。ベントをすることになりそうですが、大事にはならないように対処するつもりですから。ご心配なく」

 「そうでしたね。確かあなたの専門分野でしたね。原発は」

 10分間の電話会談を終えたオバマ大統領は、米軍総司令官として1枚の作戦計画指示書にサインした。その作戦は、夜明けとともに行動に移された。作戦名は、「トモダチ作戦(Operation Tomodachi)」。



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