1話
※これは違うサイトで書いていた小説になります!
長編小説ですが、約6000文字しかありません。
続きは書くかも分かりませんが、最後まで見てくださると嬉しいです!
『話がしたいので昼休みに屋上に来てくれませんか? 』
僕の引き出しに入っていた、一文しか書かれていない紙切れ。
でも、とても丁寧な字で書かれており、一目見ただけで女性の物だと分かった。
更に、屋上で手紙ときた。これはもう告白しかない……と、一瞬だけわくわくした自分がいたがすぐに自分が妄想していた事を振り払った。
だって、人見知りで友達も少ない僕の事を好きになってくれる人がこの学校に……?
それとも、ただの悪戯?
深く考えれば考えるほど、怖くなってきて屋上に行きたくなくなった。
だけど、行かなかったらもっと恐ろしい事があるかもしれない……と、思った僕は思い切って屋上に行くことを決心した。
――それから1時間後。
ちょうど昼休みになった僕はその紙切れを手に握りしめ、屋上へと来ていた。
僕が1番最初に来たらしく、人の姿は見えなかった。
嫌な予感がしてきたけど、待つことにした僕は屋上に1つしかないベンチに腰をかけることにし、ため息をつきながらベンチの方に歩いていく。
そして、ベンチに座ろうと、手をついた時――
「……誰? 」
声がして、自分の足元を見ると、地面で横になっている女の人がいた。僕はそれに気付かず、顔を踏んでしまう所だったけど、声に助けてもらい事故を防ぐ事が出来た……と思ったけど、よくよく考えたら地面で寝てる人の方が危なくない? と今になって気づいた。
「えっと……2年1組の高林ですけど。どうしてこんな所で寝てるんですか? 加流瀬さん」
寝ていた女性は同じクラスの加流瀬さんだった。
この人も僕と同じであまり表に出るタイプではないので、1度も会話をした事がなかった。
僕が加流瀬さんを見ていると、彼女は立ち上がって服装を整えると――
「君が来るまで暇だから寝てようと思ってね。それにしても、女の子を待たせるなんて、男として失格な気がするんだけどー? 」
加流瀬さんは悪戯っぽい笑みを浮かべて僕の顔を覗き込んできた。
急に距離が近くなり、ほのかに香るシャンプーの匂いに僕は、少しドキッとして後ずさりする。
「僕を待っていた……? じゃあ、加流瀬さんが僕を呼んだの? 」
持っていた紙切れを見せながら僕は彼女に質問した。
加流瀬さんは、コクリと頷くと笑顔を消し、真剣な表情になった。
僕も彼女と合わせるように、背筋を伸ばして姿勢を正す。
すると、彼女はゆっくりと頭を下げて、僕に向けて――
「あなたに一生のお願いを使います! どうか、私の告白が成功するよう、力を貸してください! 」
彼女が叫んだ瞬間、僕達は真っ白な光に包まれた。
そして……僕は彼女の、加流瀬 里依紗に自由を奪われることになった。