コント『国家元首』
ボケ
「トライプでーす♪」
ツッコミ
「アッソウでーす♪」
二人
「二人合わせてツートップでーす♪」
ボケ
「しかし、アッソウもたいへんだよね。近所がパンパンと花火を打ち込んできてて」
ツッコミ
「ホント、たいへん。で、そこと違う近所とも最近ゴタゴタしてて、もー、どうしよ」
ボケ
「がんばってなんとかしてね」
ツッコミ
「他人事みたいに言うけど、いざってときは頼りにしてるからね、トライプ」
ボケ
「え?」
ツッコミ
「え? って何? ちょっと、うちとトライプのとこは同盟してるよね?」
ボケ
「いや、同盟はしてるけど、それとこれは話が違うからさ」
ツッコミ
「いやいやいや、同盟ってそういうもんじゃ無いでしょ? 困ったら助けてくれるんでしょ? 思いやり予算とかかなり出したよ?」
ボケ
「これはお金だけの問題じゃ無いんだよ。お金で人の気持ちは買えないのさ」
ツッコミ
「いや、金の問題にしてよ」
ボケ
「アッソウ、君は人の気持ちを考えたことはあるかい?」
ツッコミ
「トライプにそんな話をされるとは思わなかった」
ボケ
「なんだい、まるで僕が他人の気持ちの解らない空気の読めない人みたいな言い方するね」
ツッコミ
「あれ? この前、ヘイトな発言して叩かれてなかった?」
ボケ
「人をレイシスト呼ばわりする方がレイシストなんだよ」
ツッコミ
「バカって言う奴がバーカって、子供みたいな」
ボケ
「いいかいアッソウ、人の気持ちを考えるには相手の立場に立ってものを考えるんだ。例えばアッソウがうちの国の若者だとするよね?」
ツッコミ
「私がヤンキーなヤングメンに?」
ボケ
「君の国が他所の国から攻められて戦争になったとしよう。でも、同盟してるってだけで他所の国まで行って自国でも無い同盟国の最前線で、死ぬかもしれないドンパチしてこいって言われて、君、わかりましたって言って行ける?」
ツッコミ
「行かないけど。でもトライプのとこ、昔はけっこうそれやってたよね?」
ボケ
「僕はそのときのトップじゃ無いから知らないよ。昔のことをいつまでも言うもんじゃ無いよ」
ツッコミ
「うちはずっと、昔のことをネチネチ言われてきてんだけどね」
ボケ
「じゃ、逆にしてみようか? うちの国が他所の国から攻められて戦争になるとするよね?」
ツッコミ
「トライプのとこにカチコミかけるのか。自殺行為だな」
ボケ
「そのときに君の国の若者が、お金貰えるからってわざわざうちの国まで来て、うちの国を守る為に死ぬかもしれないドンパチしろって言われて、何人来る?」
ツッコミ
「いや、ほら、うちに軍隊は無いから」
ボケ
「軍隊の有る無しは関係無いよ。さっきのアッソウの言うとおりにするなら、同盟してるんならうちの国を守る為に、君のとこの若者がうちの国を守る為に、死ぬかもしれないドンパチしてくれないと困るよ。だって同盟してるんでしょ?」
ツッコミ
「そこはお金でなんとか」
ボケ
「お金で人の命は買えないんだよ。人は自分の家族や友人を守る為には戦えるけれど、それをなんで他所の国まで行って、知らない外国人を守る為に戦わなきゃいけないの? 僕はうちの国の若者にそんなことはさせられ無いなあ」
ツッコミ
「あれ、約束が違くない?」
ボケ
「もしかして、アッソウの国って他所の国の戦争にまで遠征して、一緒にドンパチしたいって人が多い軍国主義なの?」
ツッコミ
「違うよ! うちの国民は平和主義!」
ボケ
「ちょっとアンケートとってみる? 君の国で報酬いくらだったらうちの国の最前線で戦争してもいいっていう人、どれくらいいる?」
ツッコミ
「あ、そのアンケートやめて。うちの国の最低賃金が経済水準よりもズンと低いのバレちゃうから。とにかく、戦争反対、戦争良くない」
ボケ
「それならがんばって戦争回避してね。うちの国の若者に君のとこ行って死ぬまで戦えなんて、そんな非人道的なことは期待しないでね」
ツッコミ
「えー? そりゃないよー。今までいくら払ったと思ってんの?」
ボケ
「なんでもお金で解決しようと考えるのが間違いなのさ」
ツッコミ
「でも、ほんとこれからどーしよ」
ボケ
「何をするにしても、やっぱり自国の安全が第一だよね。その為には防衛体制をちゃんとしないと」
ツッコミ
「基地作るのも進まないのにー」
ボケ
「なのでアッソウはうちから対ミサイル兵器と戦闘機をいっぱい買わないとね」
ツッコミ
「あー、またお金がかかるー」
ボケ
「平和と安全はタダじゃ無いんだよ。しかも年々高くなるものさ。で、も、僕とアッソウの仲だからね、いろいろとサービスするよ」
ツッコミ
「うーん、消費税30%に上げたら、平和は買えるかな?」