報酬と渡された薬
「やっぱり驚かれましたね、いえ無理もありません。これまでの人もそうでしたから。」
男は少し笑いながら言う。
「もう一度言いますが私はあなたをからかっているのではありません、これは真剣な話なんですよ。」
「あ、ああ分かってるさ。で、報酬はどうなるんだ?」
俺は頭の中が混乱していたがそれを隠すように言った。
「理解が早くて助かります。では、報酬の話に移ります。」
「報酬についてもまどろっこしい事は一切なしです。単刀直入に言いましょう」
男は一呼吸置きそしてこう言った
「報酬は…大体一億円程です」
「は…?一億?」
思わず口からそう漏れてしまった。
「勿論これに関しては上下します。一億というのは一年間常に戦場で戦える状態だったときに支払われる金額です。場合によってはかなり給料が安い場所でこき使われるのでその辺りはご理解を」
「はぁ…」
正直な所あまり実感が沸かなかった。戦争して来れば一億円?そんな話があるわけがない。だが
もうこの先何年と持たない命だ、その賭けに乗るとしよう。もう俺には失うものなんてないのだから。そう思い俺は答えた
「分かった、その話乗ろうじゃないか。で、その戦争とやらはどこでやっているんだ?海外の紛争地帯か何かか?」
「いいえ、海外ではありません。更に言っておきますがこの世界でもありません。あなたが参加する戦争をしているのは異世界です!」
「………」
流石にもう驚かなくなってきた。まあ確かにこの世界に戦争に参加するだけで一億出すような国はないだろう。しかしそこである疑問が思い浮かんだ。
「その異世界とやらにはどうやって行くんだ?
俺は不思議な力も時空間移動装置みたいな物も持ってないぞ?」
俺が冗談混じりにそう言うと、
「その点に関しては大丈夫です、異世界に行くにはこれを使います。」
そう言って男が取り出したのはカプセル型の薬だった。
「これを飲んで寝れば目が覚める頃には異世界に行けます。これを差し上げますので今日の夜にでも服用してください。異世界のルール等は向こう側で説明されます。それではいい結果になることを願っております!」
そう言うと男は俺に薬を渡すとどこかへ行ってしまった。
「今日の夜にでも…ねぇ」
結局その日俺は考え事をしている間に夜になってしまった。そして俺は男から渡された薬を飲んで眠りについた。