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ワームズ戦の勝利はミーコの大活躍なしでは難しい戦いになっていた。
(あっぱれミーコ。俺は嬉しいよ)
今回はミーコが得意の力を出したことが大きかった。
冷もミーコの判断力には脱帽する。
(あの状況でよく逃げずに逆に接近戦を選べた。ワームズは確かに破壊力はある。そこからワームズと距離を取りだがるのがやりがちな戦術と言える。しかしミーコは逆に接近戦を選べたのは怖かったはずで、これは褒めるに値するよな)
ついこの間まで魔物を1匹たおすのにも苦労していた彼女達は、冷の想像通り、いやそれ以上のペースで成長していた。
ランクが6に上がっても決しておくすることはなく、互角以上に戦ったのだ。
冷は彼女達の近くにいき、
「君たち、ワームズをこうもアッサリと倒すとはお見事としか言えないぜ」
「当たり前だ。いつまでもお前の世話にはならない。魔剣グラムの使い方も慣れてきたしな」
「うむ、魔剣グラムからのディープスピンは命中率は上がったようだな。ミーコに当たっていたら一大事だったし。それにダメージ量も以前よりも大きいじゃないだろうか。リリスの魔力量も増えてるかもしれないな」
リリスの魔剣はリリス本人の魔力量に大きく左右される。
使い手の魔力量が大きい程、破壊力も大きくすることが可能となっているからだ。
「まぁな!」
リリスは褒められると、直ぐに嬉しがる傾向がある。
「褒め過ぎは良くないの冷。リリスは直ぐに調子に乗るから」
「良いだろ調子に乗ったって。倒してるのだからよ」
「そこに問題があるのよ。リリスは満足しちゃって訓練をおろそかにしがちよ」
「それは当たってる」
「ミーコ、活躍したからって偉そうにいうなっ」
「偉そうなのはリリスです」
「まぁまぁリリスは良くやった。それにアリエルも接近戦は意外と戦えたよな。あれは俺からしても本当に意外だぜ」
今までは遠目からの攻撃に重点を置いていたアリエル。
それがワームズには接近戦でも十分にダメージを与えていた。
その点はアリエルの弱かった部分が成長したとも言える。
(度胸がついたのかもな。やはり実戦が1番だな)
「えっへん! この私……女神は成長力があるのよ。確かにミーコとリリスに比べたら非力かもしれないが、いつまでも非力ではない。ステータスが上昇しているの」
「怪しいが」
「本当です!」
「それならアリエルが前衛に行けよ今度から」
「それは無理です。私の役目は後方です。あなた達の役目を取るほどで、しゃばりではない」
アリエルは急に態度がデカくなっていたのは、冷に褒めらてたのもあった。
リリスはその急変したのを見て、
「アリエルさ、お前の方こそ調子に乗ってるだろ。私より調子に乗ってるぞ」
「えっ! そうかしら……あはは」
「確信的に乗ってました。女神だから……みたいに言って……」
ミーコにも言われるとアリエルは恥ずかしそうにしたが、その仕草も冷からみたら可愛いので許すことに。
(女神が恥ずかしがるのは、結構可愛いんだよな)
その後素材の回収をする。
素材をワームズから回収しクエストを終えようとした彼女達に冷は、
「ちょっと待て。まだクエストは終わってないぜ」
終了してないと言う。
彼女から見たら、もうワームズは討伐していた。
どうして終わってないのかと疑問に思う。
(君たちだけにいい思いはさせない)
「どうしてですか冷氏。条件の素材は回収しましたよ」
「最低限のクエストは終了した。これはごく普通の冒険者のクエストの終了ならいいだろう。ワームズを討伐し素材もあるのだからな。しかし普通の冒険者と俺は違う。その違いだけは覚えておいてくれ」
冷は回収し終えたのにも関わらず、立ち去ろうとはしない。
むしろ逆に闘士を燃やしていた。
(彼女達だけ戦って俺だけ見てるだけなんて、つまらねえだろう)
観戦しか出来ないのでは冷には不満点であった。
「……それじゃまだクエストを続けたいと申すか?」
「十分に回収してある」
「そうだよお前は見学だけで大丈夫」
「いいや、見学では不満足さ」
(体がうずうずしてきたな)
「やる気みたいよ」
「俺がやるから君たちは下がっててくれたまえ」
(俺にもしたいことはある。魔物になら試したりできる)
「……見てるだけでは物足りない感じか、冷氏らしい」
ミーコも冷の性格がわかってきたようだった。
問題はないわけではない。
この地にワームズが居るのが前提で冷のクエストは成り立つのだから。
「1匹しか居なかったら、どうするの?」
「そうよ、もう居ないような気する」
「これから調べてやろう」
冷は調べる方法を考えていた。
それは土の中に居るかもしれないワームズを刺激すること。
その方法はスキルストレージにあった。
(衝撃を与えれば驚くだろう。そこで出てきたらぶっ叩く)
スキルを選ぶと魔力を増して、
「オメガラウンド!!」
冷の選んだスキルはオメガラウンドであった。
このスキルは空中に幾つもの岩石を作り出して大量に相手にぶち込むスキル。
(この岩石を土にぶち込んでやろう。そうすれば衝撃でワームズは嫌でも地上に出てくるはずだ。まだ居ればの話だが)
あとどれだけ地中に居るのかわからない冷は、試しにオメガラウンドをぶち込むことに。
岩石が大量に作られていった。
それを地上に落下させるようにして降り落とした。
岩石は全て同時に見渡す限りの地上に落下した。
その数は数え切れない程の数を。
爆裂音が冷にまで届くと、もの凄い量の土ぼこりが立った。
とてつもない揺れが辺りに伝わる。
「うわあ〜〜」
「揺れるわ〜」
「揺れてます」
アリエルとリリスとミーコは衝撃で足元がグラつく。
まるで巨大地震の揺れが来たかと思わせた。
冷は結果を静かにみつめる。
(どうかな。もし地中に居れば反応はあるはずだが)
とその時に、地中から6ヶ所に渡って土が盛り上がるのが確認出来た。
「やっぱり居たかワームズ」
冷の思惑は見事に的中した。
しかも地中に追い出すことにも成功する。
(さぁ出ておいで!)
「6匹もいるぞお前、大丈夫かよ!」
「いくら何でも出し過ぎでしょ!」
「後方に下がります」
ミーコは見たと同時に後ろに下がる。
とても6匹は相手には分が悪いだろうという見立てであった。
しかし冷には逆の考えであった。
「なんだ、たったの6匹かよ」
(この程度なら問題ない)
「えっ! 今何て言ったの……。たったの6匹て聞こえたけど……」
さすがにアリエルも耳を疑った。
「ああ、言ったよ。もっと居るかと思ってた。まぁ俺が6匹を同時に相手にしてやろう」
(訓練を教える俺が、この程度を倒せなかったらダサいよな)
「……」
彼女達は本当に可能なのかと、やや疑った目で観戦することにした。
冷としては最初に試したいことがあった。
それは直近で習得したスキルであるウインドキル。
ガーゴイルから習得したもの。
その時はガーゴイルは羽を相対した方に向けて飛ばすスキルであるが、冷には羽は生えていないのでこのスキルが役に立つのかが知りたかったのだ。
(どうなるか俺にもわからないんだよな。なにせ俺は鳥じゃないから羽は無理だろう)
ワームズは地中で休息していたところを冷に叩き起こされたので、機嫌が悪かった。
寝起きは機嫌が悪いのは魔物も人も同じであった。
冷は機嫌が悪かろうが関係なくワームズを倒しにかかる。
スキルのウインドキルを発動してみた。
「ウインドキル……」
(はたして、どうなるかな……)
冷はどうなるか自分でもわからずにスキルを発動するという無謀な行動をする。
すると異変が起こったのは、発動した直後である。
冷の体に生えている体毛。
それほど体毛は濃くはないが普通にはある。
その1本1本がピンと張るような感触。
全身の体毛がまるで生きているかのごとく感じられた。
(俺の体毛がおかしいぞ。これはまさか体毛が羽の代わりに飛び出すなんてことがあり得るだろうか……)
冷の予想は的中していた。
体毛は体から飛び出すと針のように鋭く尖った武器と変わった。
そしてワームズがいる方向に飛ばす。
無数の体毛の針がワームズの1匹に命中。
かなり離れた距離ではあるが、ほぼ的中してワームズは叫び声を出した。
その後に地に沈んだ。
僅か数秒で1匹目を討伐させた。
見ていたアリエルは何が起こったのか、わからずにいて、
「な、なにしたの。私にはよくわからないんだけど?」
「たぶんだけど、冷氏はウインドキルを使ったので何かしらを飛ばしたものと思う」
ミーコははっきりとはわからないものの飛んだのは確認していた。
「何だろうな……」
リリスも同じくわからないでいた。
「遠距離でも攻撃できるようね」
「リリスのディープスピンと同じだわ」
「真似たのか」
それは当たり前だろう。
体毛など遠くからは見えないし、まさか体毛を飛ばす人がいるとは考えもつかない。
冷の考えを上をいったウインドキルはかなりのダメージを与えていた。
(まさか体毛が出ましたか。それもかなりの攻撃力はある。ガーゴイルのスキルだから当然か。それに体毛が無くなってるしよ。これでは肌がつるつるになっちゃうぜ)
ウインドキルで冷の体毛は全て無くなっていた。
女性のように脱毛したようである。
効果は絶大でも体毛が無くなればもう意味はなく、一発の限定スキルと終わった。
(バトル中はあまり使いたくないかもな。使えても1発だけだな)




